2020年9月18日号 Vol.382

マックイーン監督「ラバーズ・ロック」で開幕
オンラインとドライブ・イン・シアターで
「ニューヨーク・フィルム・フェスティバル(NYFF58)」


マックイーン監督「ラバーズ・ロック(Lovers Rock)」 (Photo © Amazon Studios)

今年58回目を迎える「ニューヨーク・フィルム・フェスティバル(NYFF)」(主催:フィルム・ソサエティ・オブ・リンカーン・センター)が、9月17日(木)から10月11日(日)まで開催。コロナ禍で劇場が閉鎖されているため、今回はオンラインとドライブ・イン・シアターで行う。
上映は、フェスティバルの目玉となる作品を集めた「メインスレート」、革新的な作品を取り上げた「カレント」、有名監督のユニークな新作をピックアップした「スポットライト」、70年代から90年代までの独創的な作品をカバーした「リバイバル」に大別。さらに短編セレクションもあり、オンライン開催とはいえども例年通りの充実したラインナップだ。

オープニング・ナイトは、イギリス生まれの黒人監督、スティーブ・マックイーンの「ラバーズ・ロック(Lovers Rock)」。1960年代から80年代にかけて、ロンドンの移民コミュニティ「ウエスト・インディアン」地区での生活にスポットをあてたアンソロジー・シリーズ「Small Axe」の一環。ハウスパーティーで出会った若者が成長する一晩を描く。
その他にも、同監督の「マングローブ(Mangrove)」と「レッド、ホワイト・アンド・ブルー(Red, White and Blue)」が上映される。

センターピースは、中国生まれのクロエ・ジャオ監督「ノマドランド(Nomadland)」。ネバダ州の田舎を背景に、バンに荷物を積み込んだひとりの女性・ファーンが、現代の「遊牧民」としての生き方を探すロードムービー。ジェシカ・ブルーダーの小説「Nomadland: Surviving America in the Twenty-First Century」(ノマド : 漂流する高齢労働者たち)が原作で、映画には実際の遊牧民も登場、主人公の仲間・指導者として描かれている。


クロエ・ジャオ監督「ノマドランド(Nomadland)」Photo © Nomadland

クロージング・ナイトは、ニューヨーク育ちのアザゼル・ジェイコブス監督「フレンチ・エグジット(French Exit)」。パトリック・デウィットの同名小説が原作で、本作でデウィットは脚本も手掛けている。物語は、マンハッタンに住む富豪未亡人(ミシェル・ファイファー)とその息子(ルーカス・ヘッジズ)、そして未亡人が夫の生まれ変わりだと信じる老猫(声・トレイシー・レッツ)が登場。破産したことで一家はパリの小さなアパートへと引っ越すのだが…。 エレガントでスタイリッシュ、奇妙で風変わりなコメディー・ドラマ。


ジェイコブス監督「フレンチ・エグジット(French Exit)」(Photo by Tobias Datum. Courtesy of Sony Pictures Classics)

その他、フレデリック・ワイズマン監督がボストン市庁舎を取り上げたドキュメンタリー「シティー・ホール(City Hall)」、強盗犯として60年の刑を宣告された夫・ロブを釈放させようと戦った妻リッチを追ったギャレット・ブラッドリー監督のドキュメンタリー「タイム(Time)」などが注目されている。
詳細はオフィシャルサイトで確認を。


ワイズマン監督「シティー・ホール(City Hall)」 (Photo © Zipporah Films, Inc)


ブラッドリー監督「タイム(Time)」 (Photo © Amazon Studios)

New York Film Festival (NYFF58)
■9月17日(木)〜10月11日(日)
■チケット料金
(以下は全て一般料金、メンバー割引有)
・特別イベント:$25
・メインスレート:$15
・リバイバル、カレント、スポットライト:$12
・ドライブ・イン・シアター(車1台):$45
※その他、複数購入で割引有り
■上映はオンラインまたは野外(ドライブ・イン・シアター)
★ドライブ・イン・シアター
・Brooklyn Drive-In:The Brooklyn Army Terminal
 80 58th St, Brooklyn
・Queens Drive-In:The New York Hall of Science
 47-01 111th St. Corona
www.filmlinc.org/nyff2020


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