2018年9月7日号 Vol.333

「サムソンとデリラ」で開幕
ドミンゴ50周年記念も
メトロポリタン・オペラ 2018-2019

メトロポリタン・オペラ
サムソンとデリラ Elīna Garanča as Dalila and Roberto Alagna as Samson Photo: Vincent Peters / Met Opera

メトロポリタン・オペラ
マーニー Marnie production photo from English National Opera. Photography by Richard Hubert Smith

メトロポリタン・オペラ
アドリアーナ・ルクヴルール Anna Netrebko as Adriana and Piotr Beczała as Maurizio. Photo: Vincent Peters / Met Opera

メトロポリタン・オペラ
ニーベルングの指環「ワルキューレ」 A scene from Act 3 of Wagner's "Die Walküre." Photo: Ken Howard / Met Opera

メトロポリタン・オペラ
ボイート作曲「メフィストフェレ」A scene from Boito's "Mefistofele." Photo: Winnnie Klotz / Met Opera Archives


9月24日新演出の「サムソンとデリラ」で初日を迎えるメトロポリタン・オペラ。今シーズンは、ニコ・ミューリー作曲「マーニー」のMET初演、ヴェルディ作曲「椿姫」の新演出、チレア作曲「アドリアーナ・ルクヴルール」の新演出。ワグネリアン待望の「ニーベルングの指環」全4作の上演に加えて、19作品のレパートリーというラインナップで、2019年5月11日まで上演される。
世界一と言っても過言でないゴージャスなオープニング・ガラは、シャルル・カミーユ・サン=サーンスの傑作「サムソンとデリラ」。新演出を手掛けるのは2014年「紳士のための愛と殺人の手引き」でトニー賞を受賞して脚光を浴びたダルコ・トレズニヤック。今回METの演出デビューを飾る。
2016年にはオペラ界のスーパースター、プラシド・ドミンゴ主演のヴェルディ作曲「マクベス」をロサンゼルス・オペラで演出。2017年に、ブロードウェイ版「アナスタシア」の演出を担当。主演のサムソンを演じるテノール、ロベルト・アラーニャとデリラを演じるメゾ・ソプラノのエリーナ・ガランチャは、2009年の新演出「カルメン」で大旋風を巻き起こした名コンビ! またもや誘惑する美貌の悪女と翻弄されて破滅する男性の物語で、白熱の舞台が期待される。

MET初演「マーニー」は、アルフレッド・ヒッチコックが映画化したW・グラハム原作の心理サスペンスをニコ・ミューリーがオペラに仕立てた作品。イザベル・レナードクリストファー・モルトマンが異色の作品に挑む。マイケル・マイヤー演出で10月19日初演。

12月4日にガラ・シーズン・プレミアで、待望の衣替えがなされるジュゼッペ・ヴェルディ作曲の人気作品「椿姫(LA TRAVIATA)」は、18世紀に舞台を設定し、美しい四季の移り変わりを取り入れたマイケル・メイヤーの演出。METの音楽監督ヤニック・ネゼ=セガンが指揮、ディアナ・ダムラウが悲劇のヒロイン、ヴィオレッタを演じ、恋に溺れる青年アルフレッドには、テノールのファン・ディエゴ・フローレスがMET初挑戦を果たす。

恒例のニューイヤーズ・イヴのガラには、フランチェスコ・チレア作曲の「アドリアーナ・ルクヴルール」が、新演出でお披露目される。実在した18世紀のフランスの女優、舞台でも実生活でも熱烈な恋に生きた女性を描いたこのオペラの主演には、レナータ・テバルディ、モンセラート・カバリエ、レナータ・スコットなどこれまで伝説の歌手たちが演じてきた。今回はアンナ・ネトレプコが初めてMETで演じる。テノールのピョートル・ベチャワが恋人役に扮する。ロンドンのロイヤル・オペラで初演され、絶賛されたデイヴィッド・マクヴィカーの演出がエレガント。

さらに、ロベルト・ルパージュ演出のワーグナー作曲「ニーベルングの指環」は、サイクルⅠ(3月9日、30日、4月13日、27日)、サイクルⅡ(4月29日、30日、5月2日、4日)、サイクルⅢ(5月6日、7日、9日、11日)の3回公演。根強い人気の演目なのでチケットの手配はお早めに!

レパートリーのラインナップは以下。
「ボエーム」「アイーダ」「西部の娘」「トスカ」「カルメン」「メフィストフェレス」「真珠とり」「プッチーニ3部作(外套、修道女アンジェリーカ、ジャンニ・スキッキ)」「オテロ」「魔笛」「ぺレアスとメリザンド」「イオランタ/青ひげ公の城」「ドン・ジョヴァンニ」「連隊の娘」「リゴレット」「ファルスタッフ」「皇帝ティートの慈悲」「カルメル会修道女の対話」

スペシャル・イベント
プラシド・ドミンゴ
50周年記念コンサート


今シーズンはプラシド・ドミンゴが、プッチーニ作曲の三部作「ジャンニ・スキッキ」のタイトルロールでコミカルな役を演じる。同作の初演はMETで今年は100周年にあたり、ドミンゴのMETデビュー50周年の記念すべき年でもある。スペシャル・ガラ・コンサートは、2019年4月28日。ドミンゴは、1941年1月21日マドリード生まれ。1957年にバリトン歌手としてデビュー、その後1961年にテノールに転向し、「椿姫」のアルフレードで再デビュー。幅広いレパートリーで世界を制覇し、日本での人気も高い。最近は年を重ねて、バリトンに再び戻り更に新しい役に挑戦し続けている。(針ケ谷郁)

The Metropolitan Opera 2018-2019
■9月24日(月)〜2019年5月11日(土)
■会場: The Metropolitan Opera House
 30 Lincoln Center Plaza
■料金:演目により異なる
■チケット:212-362-6000
www.metoperafamily.org


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