2018年8月24日号 Vol.332

クラシック映画2本立て
現代映画の「原点」となった名作ずらり
「サマー・ダブル・フィーチャー」

サマー・ダブル・フィーチャー
(左)「M」(1951, Joseph Losey)、(右)「M」(1931, Fritz Lang)

サマー・ダブル・フィーチャー
(左)「メイド・インU.S.A.」(1966, Jean-Luc Godard) (1951, Joseph Losey)、(右)「女は女である」(1961, Jean-Luc Godard)

サマー・ダブル・フィーチャー
(左)「半魚人の逆襲」(1955, Jack Arnold) 右がイーストウッド、(右)「大アマゾンの半魚人」(1954, Jack Arnold)


ウエストビレッジにある映画館「フィルム・フォーラム」で、クラシック映画の名作を2本立てで上映する「サマー・ダブル・フィーチャー」が、8月24(金)から9月11日(火)まで開催される。今年3度目を迎える真夏の恒例イベントだ。

フリッツ・ラング監督の「M」(1931年)は、ドイツのベルリンで実際に起きた連続殺人事件をベースにしたサイコスリラー。殺人鬼「M」を追う警察と犯罪者組織。捕らえられた「M」は、暗黒街の民衆裁判で糾弾される。ラング監督初のトーキー作品で「サイコスリラーの元祖」とも言われている。
同時上映は、ジョセフ・ロージー監督の「M」(1951年)。ラング監督「M」のリメイク版で、舞台をロサンゼルスに変更して制作された。

ジャン=リュック・ゴダール監督作品の「女は女である」(1961年)と、「メイド・イン・USA」(1966年)が同時上映。2作ともヌーヴェルヴァーグ時代にヒロインとして活躍したアンナ・カリーナが出演。ゴダールと1961年に結婚、1965年に離婚したカリーナは、多くのゴダール作品に出演した。

ハリウッドでモンスター映画を多数手掛けたジャック・アーノルド監督の「大アマゾンの半魚人 」(1954年)と、その続編「半魚人の逆襲」(1955年)が同時上映。アマゾン川に生息する古代生物の半魚人と現代文明との衝突、モンスターと美女の悲恋が描かれている。2017年に公開されたヒット作「シェイプ・オブ・ウォーター」(ギレルモ・デル・トロ監督)の原点とも言われるモンスターホラーの古典的名作。ちなみに「半魚人の逆襲」は、クリント・イーストウッドのデビュー作としても知られている。クレジットもされていない程の脇役だが、「若き日のイーストウッドが観られる!」とファン垂涎の1本。

マーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」(1976年)と、「ミーン・ストリート」(1973年)が同時上映。2作ともニューヨークが舞台で、ロバート・デ・ニーロとハーヴェイ・カイテルが出演。「ミーン・ストリート」は、「スコセッシ監督とデ・ニーロ」という名コンビ誕生の原点となった。

その他、カルト的人気を誇るロビン・ハーディ監督の「ウィッカーマン」(1973年)と、バイオレンス映画の巨匠と評されるサム・ペキンパー監督の「わらの犬」(1971年)や、アルフレッド・ヒッチコック監督の「見知らぬ乗客」(1949年)と、ルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」(1960年)=共にパトリシア・ハイスミス原作=など、「2本だての意図」を探るのも面白い。
全スケジュールはオフィシャルサイト(別記)で。

SUMMER DOUBLE FEATURES
■8月24日(金)〜9月11日(火)
■会場:Film Forum
 209 W. Houston St.
 Tel: 212-727-8110
■一般$15、メンバー$9
filmforum.org

★上映スケジュール(タイトルは邦題、カッコ内は監督名)
8/24:偉大なるアンバーソン家の人々(オーソン・ウェルズ) 、プル・マイ・デイジー(ロバート・フランク)
8/25:さらば冬のかもめ(ハル・アシュビー)、ファイブ・イージー・ピーセス(ボブ・ラフェルソン)
8/26:教授と美女(ハワード・ホークス)、リメンバー・ザ・ナイト(ミッチェル・ライゼン)
8/27:M (フリッツ・ラング) 、M (ジョゼフ・ロージー)
8/28:地獄の逃避行(テレンス・マリック)、 キャリー(ブライアン・デ・パルマ)
8/29:女は女である、メイド・イン・USA(ジャン=リュック・ゴダール)
8/30:サブウェイ・パニック(ジョセフ・サージェント) 、ある戦慄 (ラリー・ピアース)
8/31:大アマゾンの半魚人、半魚人の逆襲(ジャック・アーノルド)
9/1:タクシードライバー、ミーン・ストリート(マーティン・スコセッシ)
9/2:見知らぬ乗客(アルフレッド・ヒッチコック)、太陽がいっぱい(ルネ・クレマン)
9/3:第三の男、邪魔者は殺せ(キャロル・リード)
9/4:パニック(ジュリアン・デュヴィヴィエ)、密告(アンリ=ジョルジュ・クルーゾー)
9/5: マフィオーソ (アルベルト・ラトゥアーダ)、黄金の五分間(ヴィットリオ・デ・シーカ)
9/6:遅すぎた涙(バイロン・ハスキン)、大いなる別れ(ジョン・クロムウェル)
9/7:ハネムーン・キラーズ(レナード・ カッスル)、フィメール・トラブル(ジョン・ウォーターズ)
9/8:わらの犬(サム・ペキンパー)、ウィッカーマン(ロビン・ハーディ)
9/9:007 ゴールドフィンガー(ガイ・ハミルトン)、ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(リチャード・レスター)
9/10:マドンナのスーザンを探して(スーザン・シーデルマン)、アフター・アワーズ(マーティン・スコセッシ)
9/11:真夜中の青春(ハル・アシュビー)、グリニッチ・ビレッジの青春(ポール・マザースキー)



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