2021年8月20日号 Vol.404

「ヴィデオ彫刻」先駆者
久保田成子の作品展
「リキッド・リアリティ」

Shigeko Kubota. Self-Portrait. ca. 1970- 71. © 2021 Estate of Shigeko Kubota / Licensed by VAGA at Artists Rights Society (ARS), NY

新潟県出身でニューヨークを拠点に活動した美術家・映像作家の久保田成子(1937〜2015年)の作品を紹介する「リキッド・リアリティ」が、8月21日(土)から2022年1月1日(土)まで、近代美術館(MoMA)で開催される。

1964年、ニューヨークへ移住した久保田。60年代に展開された前衛芸術運動「フルクサス」に参加。彫刻と映像を組み合わせた「ヴィデオ彫刻」の先駆者的な存在となり、夫はビデオ・アートの開拓者として知られるナム・ジュン・パイク。



マルセル・デュシャンに出会ったことから制作された「デュシャンピアナ」シリーズ。「デュシャンピアナ:階段を降りる裸体」(1976年)=写真=は、デュシャンの絵画「階段を降りる裸婦」を「三次元」のインスタレーションに置き換えたもの。木製の階段に設置した4台のモニターに、ヌードの女性が階段を歩く様子を映した作品で、MoMAが初めて収蔵したヴィデオ彫刻となった。

Shigeko Kubota. Duchampiana: Nude Descending a Staircase, 1976 © 2021 The Museum of Modern Art, Department of Imaging and Visual Resources. Artwork © 2021 Estate of Shigeko Kubota / Licensed by VAGA at Artists Rights Society (ARS), NY

「ヴィデオ俳句ーぶら下がり作品」(1981年)は、ゆっくりと振り子運動をするモニターを観ている鑑賞者の様子が、そのモニターに映し出される仕組み。鑑賞者がアートの一部になるという、画期的な作品だった。

本展は小規模ながらも、「筆」を「映像」に置き換えた先駆者、久保田の代表作が鑑賞できる。
入場は時間予約制、マスク着用を義務化。

Shigeko Kubota: Liquid Reality
■8月21日（土）〜2022年1月1日（土）
■会場：MoMA
　11 W. 53rd St.
■大人$25、65歳以上$18、学生$14
　16歳以下無料
■www.moma.org

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