2023年8月18日号 Vol.452

展示250点以上、65年に渡る活動を包括
戦後アメリカ美術界に与えた影響力
「エド・ルシェ/NOW THEN」

①Ed Ruscha. Actual Size. 1962. Los Angeles County Museum of Art, anonymous gift through the Contemporary Art Council. © 2023 Edward Ruscha. Photo © Museum Associates/LACMA

今年85歳を迎えるアメリカの現代美術家、「エド・ルシェ」として知られるエドワード・ルシェのキャリアを振り返る個展「NOW THEN」が9月10日(日)から2024年1月13日(土)まで、近代美術館(MoMA)で開催される。

1958年から現在まで、65年に渡るルシェの活動を包括するもので、絵画、デッサン、版画、フィルム、写真、インスタレーションなど、250点以上を紹介。制作年表に従い、6階ギャラリー全体で展示される作品群は、戦後アメリカ美術で最も影響力があるひとりのアーティストを紐解く。


アメリカの大衆文化や都市の風景、単語を使用した作風で知られるルシェ。ガソリンスタンドをモチーフに単語「STANDARD」を組み合わせた作品「Standard Station, Ten-Cent Western Being Torn in Half」=表紙写真=はルシェの特徴的スタイルのひとつ。

②Ed Ruscha. OOF. 1962 (reworked 1963). Oil on canvas, 71 1/2 × 67” (181.5 × 170.2 cm). Gift of Agnes Gund, the Louis and Bessie Adler Foundation, Inc., Robert and Meryl Meltzer, Jerry I. Speyer, Anna Marie and Robert F. Shapiro, Emily and Jerry Spiegel, an anonymous donor, and purchase. © Edward Ruscha, courtesy The Museum of Modern Art, Department of Imaging Services, photo Denis Doorly

巨大なキャンバスに缶詰のスパムを「原寸大」で描いた「Actual Size」=写真①=は、大衆文化や広告、アメリカの消費社会をアートに反映させたもので、ポップアート運動にも貢献。

単語をモチーフにした「OOF」=写真②=、「News, Mews, Pews,Brews, Stews & Dues」などは、日常的な言葉をアートとして捉えたもの。「言語」というコミュニケーションと、「アート」という視覚的表現を組み合わせることで、鑑賞者により強いメッセージを伝えている。

キュレーターのひとり、クリストファー・チェリックス氏は、次のように述べている。
「ルシェは、ポップアーティストでも、コンセプチュアルアーティストでもなく、画家でもブックメーカーでもない。彼の作品は、20世紀と21世紀へ、新たな道を切り開いたのである」

ED RUSCHA / NOW THEN
■9月10日(日)〜2024年1月13日(土)
■会場:Museum of Modern Art:11 W. 53rd St.
■大人$25、学生(要ID)$14
 65歳以上$18、16歳以下無料
■NYC居住者無料デー(予約制):
 毎月第1金曜4-8pm
www.moma.org


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