2021年8月6日号 Vol.403

リアルとバーチャルを融合
幻想的なサイバードリーム体験
「ルマ」

アメリカ国内最大のプロジェクションマッピング・イベントに成長した「ルマ」(2016年の様子) All photos courtesy of LUMA Projection Arts Festival

マンハッタンから車でおよそ3時間半、ニューヨーク州ブルーム郡、ビンガムトンのダウンタウンを会場に、9月10日(金)と11日(土)の2日間、「プロジェクションマッピング」を駆使したアートイベント「ルマ(LUMA)・プロジェクション・アート・フェスティバル」=表紙写真=が開催される。雨天順延、12日(日)まで。

「プロジェクションマッピング」とは、CG映像を、建物や空間に投影させる技術。平面に映像を映し出す映画と大きく異なる点は、映像を「立体的」に表現する点だ。「スクリーン」となる物体や空間の形状を考慮した上で、CG映像とシンクロさせることで、「リアル(現実)」と「バーチャル(映像)」を融合。新しいエンターテイメントとして注目されている。




2015年、ストリート・フォトグラファーと映像編集者、イベントプランナーによって設立された「ルマ」。当初は3000人程度の観客を見込んでいたが、予想を遥かに上回るおよそ3万人が来場。翌年からは3Dアニメーションやパフォーマーとの合成、オーケストラ演奏など、新しい要素を加えながら規模を拡大。今ではアメリカ国内でも最大規模の「プロジェクションマッピング」イベントに成長した。

① Firefly, LIGHTHARVEST

今年の演目は4つ。それぞれ5分から15分ほどの長さで、各会場でループ上映される。

2019年に参加したブダペスト(ハンガリー)出身の「Maxin10sity」。今回はカーニバルをモチーフに、「陽気な悪夢」と題した作品を展開する。不気味な要素が加えられたバーチャル遊園地へ、観客を誘う。

同じく2019年に参加したブルックリンの「ライトハーベスト」の作品は、「ホタル」=写真①=。真っ暗な闇の中、世界を変える可能性を秘めたひとつの光。柔らかな光を放つホタルが人々の好奇心を掻き立て、新たな旅へと導く。

② Cosmogonia, MINDSCAPE

今回、初参加となるのは、ブカレスト(ルーマニア)から「マインドスケープスタジオ」と、モスクワ(ロシア)から「シラ・スベタ」の2組。

「マインドスケープスタジオ」は、「宇宙進化論」=写真②=を展開する。宇宙がどのように誕生し進化してきたか、これからどうなっていくのか。人間の理解を超えた「何か」を探求する。

「シラ・スベタ」は、世界初となるAI(人工知能)を使ったプロジェクションマッピング「AIのデュエット」=写真③=を発表する。最先端のアートフォームを学習したAIと生身の人間がコラボ、視覚的な「対話」を試みる実験的な作品。

③ Duet in AI, SILA SVETA

観覧無料・要予約、入場は時間制
一度の来場者数が最大で4万5000人を記録した人気イベントだが、今年はコロナ予防措置により、参加人数を制限、決められた時間での入場となる。1セッション1時間15分で、チケット予約制。

8月2日現在、ワクチン接種が参加条件ではないものの、参加時に接種証明を提示すれば、マスクを付ける必要がない。一方、ワクチン未接種、または接種を証明できない場合は、マスク着用が義務付けられている。(※感染予防ガイドラインは状況により変更されるため、参加直前に再確認を)

主催者は、「地元コミュニティと多方面から集まる人々の利益のために、ワクチン接種を勧めています」と発表している。

アップステイトの小さな町をキャンバスにしたアートイベントで、幻想的なサイバードリームを体験しよう。

LUMA Projection Arts Festival
■9月10日(金)・11日(土)
※雨天順延:12日(日)
■会場:ビンガムトンのダウンタウン
※目安となるアドレスは以下
92 Court St., Binghamton, NY
■参加無料・要予約・時間割り入場
8:30pm/9:45pm/11:00pm
※1セッション1時間15分
lumafestival.com

●陽気な悪夢 Cheerful Nightmares
 会場:95 Court St.
●ホタル Firefly
 会場:80 State St.
●宇宙進化論 Cosmogonia
 会場:78 Exchange St.
●AIのデュエット Duet in AI
 会場:49 Court St.


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