2018年7月27日号 Vol.330

サンディーからの復興を活力に
かつての米軍基地、廃墟で
草間彌生「ナルシスの庭」

ナルシスの庭
展示会場の「T9ビルディング」Gateway National Recreation Area at Fort Tilden, T9 building. Image courtesy MoMA PS1. Photo: Pablo Enriquez

ナルシスの庭
Rockaway! 2018 featuring a site-specific installation of Narcissus Garden by Yayoi Kusama.Artwork ©YAYOI KUSAMA. Artwork courtesy Ota Fine Arts, Tokyo/Singapore/Shanghai; Victoria Miro, London/Venice; and David Zwirner, New York. Photo: Pablo Enriquez.


夏場の楽しみのひとつ「海辺」。だが、2012年、ニューヨーク沿岸部はハリケーン・サンディーにより大打撃を受けた。あれから6年。地元では継続した復興支援が行われている。

廃墟が展示場に
「ナルシスの庭」


ブルックリンの南、ロッカウェイ半島内のフォート・ティルデンで、草間彌生のアート展「ナルシスの庭」が9月3日(月)まで開催中だ。かつて米軍基地として栄えた同地区で、機関車倉庫だった「T9ビルディング」が展示会場。2014年から始まったプロジェクト「ロッカウェイ!」の第3弾となる。
ハリケーン・サンディーで、壊滅的なダメージを受けた同地区。2014年、地域の再開を祝い、さらなる復興と活性化を目標にスタートした「ロッカウェイ!」展。ジャマイカ・ベイ・ロッカウェイ・パーク・コンサバシー(JBRPC)が主催し、MoMA PS1を招待。地元アーティスト団体(RAA)や、ニューヨーク公園局なども積極的に参加・支援するプロジェクトだ。
展示会場の「T9ビル」は、窓ガラスも割れ内部も落書きだらけの廃墟。放置された巨人が無言のまま、最後の時を待つかのように佇む。その内部に、ミラーリングされた1500個の球体「ナルシスの庭」が広がる。薄暗い屋内が写り込んだ球体は暗く沈み、忘れられた過去の産業と、サンディーがもたらした被害を思い起こさせる。窓から差し込むわずかな光をとらえた球体だけが周囲とは対称的に、ひときわ輝く。
観覧は金曜から日曜の、正午から午後6時、9月3日(月)まで。入場無料。

Rockaway! 2018:
Narcissus Garden by Yayoi Kusama
■9月3日(月)まで
 金〜日(9/3オープン):12:00〜6:00pm
■会場:Gateway National Recreation Area
169 State Road, Fort Tilden, NY
www.rockawayartistsalliance.org
www.moma.org


○行き方
■地下鉄:Aライン
 Broad Channel駅からシャトルで
 Rockaway Park / Beach 116 St.駅下車
■バス:Q22 / Q35
■NYC フェリー:
 Wall Street/Pier 11(Manhattanから)
 Brooklyn Army Terminal(ブルックリンから)


Ocean Wonders: Sharks!
■会場:New York Aquarium
 Surf Ave. & West 8th St. Brooklyn
■特別料金(2018年9月3日まで)
 13歳以上$14.95、3〜12歳$11.95
 65歳以上$12.95、2歳以下無料
nyaquarium.com



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