2020年7月24日号 Vol.378

アメリカ社会の「今」を表現
作品を通しての会話
野外アート展「今どきの記念碑」


ギブソンのピラミッド型インスタレーション「あなたが家に入ったら、私たちの家になるから(Because Once You Enter My House, It Becomes Our House)」


クイーンズのロングアイランドシティ、イースト・リバー沿いにある公園「ソクラテス・スカルプチャー・パーク」で野外アート展が始まった。同園が定期的に主催するエキシビションで、今夏から2021年3月まで、3つのフェーズに渡って開催される。「今どきの記念碑(Monuments Now)」と題された展示は、コロナ禍で起きているアメリカ社会の「今」を表現。作品を通して来園者と「目に見える会話」を試みる。

パート1は3人のアーティスト、ジェフリー・ギブソン、ポール・ラミレス・ジョナス、ザビエラ・シモンズの作品群。コロナ禍で作業が遅れ、7月10日、ギブソンのピラミッド型インスタレーション「あなたが家に入ったら、私たちの家になるから(Because Once You Enter My House, It Becomes Our House)」が完成した(7月19日時点で他2作品は未設置)。

イリノイ州コリンズビルに残るアメリカ先住民が築いた大遺跡「カホキア」へのオマージュで、カラフルなパターンが表面を覆うピラミッドの側面に「RESPECT INDIGENOUS LAND(尊重・先住民・土地)」や、「THE FUTURE(未来)」、「POWER BECAUSE WE ARE DIFFERENT(パワー、私たちは異なるから)」といったメッセージが描かれている。


ノア・フォースティンの「In Praise of Famous Men No More(英雄はもういらない)」All Photos by KC of Yomitime

同展に合わせて、公園入口頭上のビルボートにはノア・フォースティンの写真「英雄はもういらない(In Praise of Famous Men No More)」が設置。リンカーン記念館に鎮座するリンカーン像と、撤去が決まったアメリカ自然史博物館のセオドア・ルーズベルトの騎馬像の写真が並ぶ。アメリカの記念碑を撮影するフォースティンの「私の国(My Country)」シリーズで、植民地主義の背景にある真実とトラウマを表す。

本展は、コロナ禍の最中に起きた人種差別が黒人に限ってのことではなく、アメリカ建国からの問題であることを突きつけている。

Monuments Now
■2021年3月まで
■会場:Socrates Sculpture Park
 32-01 Vernon Blvd., Long Island City
■入園無料
socratessculpturepark.org


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