「自分の音楽は何のためか? 人に見せるためか? いや、そうじゃない…など、自問自答を繰り返していました。そんな時、広告で『Hope is Power(希望は力)』というコピーを目にしました。自分のビジョンをどこに置くか、人生の目的は何か、困難な時期だからこそ、どのように希望を力に変えて前進するかなど、掘り下げて考えることができました」
「仙台の元中学校の校長先生を紹介されたのですが、その先生が『大野さんは大変な人生を歩んでこられたにも関わらず、とにかく諦めない、負けないという姿勢、病気や事故からの復活を、生徒たちに話して欲しい。被災した彼らにとって、とても大きな力になるでしょう』と。私で役に立てるならばと始め、継続しています」。現在、被災地で若い世代との交流は、欠かせないものになった。
「孤児が集まる施設を訪問した時、想像すらしなかった彼らの過酷な現状を知りました。難しい状況にありながらも、子どもたちから感じた大きなエネルギー。私の話に耳を傾け、一緒に過ごす時間が増えるにつれて、少しずつ立ち直っていく。彼らのプラス思考から、学ぶことも多いですよ」
子どもたちと過ごした経験は、大野の制作意欲に繋がる。アルバム「All in One」(13年)、「ReNew」(16年)、「Dreamer」(18年)は、どれも「前向き」で「力強いメッセージ」を訴えたもの。根底には、自身の経験と復活、子どもたちの輝きがあった。