2019年7月12日号 Vol.353

ラングレ率いるMMFオーケストラ
ゲストにブダペスト祝祭管弦楽団
「モーストリー・モーツァルト」(後編)


(left) ルイ・ラングレ Louis Langrée (Photo by Matt Dine), (right)アンドルー・マンゼ Andrew Manze (Photo by Chris Christodoulou)


ブダペスト祝祭管弦楽団 Budapest Festival Orchestra (Photo Courtesy of MMF)


(l to r)ヴィルデ・フラング Vilde Frang (Photo © Marco Borggreve)、マーティン・ヘルムチェン Martin Helmchen (Photo © Giorgia Bertazzi)、ジョシュア・ベル Joshua Bell (Photo by Phil Knott)


リンカーンセンターが主催する夏の恒例イベント「モーストリー・モーツァルト・フェスティバル」(以下MMF)が、7月10日(水)から8月10日(土)まで開催される。演劇やダンスに加え、バラエティに富んだ様々なプログラムによる華麗なコンサートが繰り広げられる。パフォーマンスを中心に紹介した前号に続き、今回はオーケストラが演奏する注目のコンサートを案内したい。

メインとなって多くのコンサートを上演するのは、例年通り、MMFの音楽監督兼指揮者のルイ・ラングレとモーストリー・モーツァルト・フェスティバル・オーケストラ。
最初のコンサートは、7月23日(火)・24日(水)に行われる「オール・ベートーベン・プログラム」。バイオリン協奏曲と、交響曲第3番「エロイカ」が演奏される。バイオリン協奏曲のソリストは、ノルウェー出身のヴィルデ・フラング。指揮はアンドルー・マンゼ。
7月30日(火)・31日(水)には、モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」序曲、同じくピアノ協奏曲第20番ニ短調、そしてブラームスの交響曲第3番というプログラム。ピアノ協奏曲のソリストは、ベルリン生まれでモーツァルト演奏に定評のあるマーティン・ヘルムチェン。ヘルムチェンはこの協奏曲のカデンツァに、クララ・シューマン(19世紀に活躍した女性ピアニスト。作曲家ロベルト・シューマンの妻、そしてブラームスの親友)の手によるものを演奏するとのこと。指揮はルイ・ラングレ。
8月6日(火)・7日(水)は、スーパースター・バイオリニストのジョシュア・ベルが登場、ドヴォルザークが作曲した、ボヘミア色の濃いバイオリン協奏曲を演奏する。他にはモーツァルトの交響曲第38番「プラハ」、コダーイの「ガランタ舞曲」と、かつてのオーストリア=ハンガリー帝国を彷彿とさせる興味深いプログラム。指揮はルイ・ラングレ。
7月27日(土)は、モーストリー・モーツァルト・フェスティバル・オーケストラによる無料公演も。入場は先着順、指揮はこちらもルイ・ラングレ。

8月4日(日)は、ゲスト・オーケストラとして招聘される、ブダペスト祝祭管弦楽団が登場。同楽団は1983年、指揮者のイヴァン・フィッシャー(現在は同楽団の音楽監督)と、ピアニストのゾルタン・コチシュによって創立された。結成当初は主にハンガリー国内で活動していたが、質の高い演奏が評価され続け、現在は国際的な活動をするようになった。コダーイやバルトークなどの、ハンガリーの作曲家の作品の演奏を得意とするが、モーツァルトやベートーベンなどの古典派作曲家の演奏にも定評がある。
今回は、ハイドンの交響曲第88番、モーツァルトのシンフォニーの中で最も壮麗な交響曲第41番「ジュピター」などのプログラムを演奏する。
全演目はウェブサイトで確認を。(木川貴幸)

Mostly Mozart Festival
■7月10日(水)〜8月10日(土)
■会場/ 料金:演目により異なる
■212-721-6500
MostlyMozartFestival.org


Mostly Mozart Festival Orchestra
"Eroica Symphony"
■7月23日(火)・24日(水) 7:30pm
"Mozart & Brahms"
■7月30日(火)・31日(水) 7:30pm
"Joshua Bell plays Dvorák"
■8月6日(火)・7日(水) 7:30pm


Budapest Festival Orchestra
■8月4日(日) 5:00pm


★上記会場は全て
■David Geffen Hall:
Broadway at 65th St.
■$35〜


★無料公演
■7月27日(土)
■会場:St. Paul's Chapel
 209 Broadway


HOME