2020年7月10日号 Vol.377

新作からクラシックまで長短42作品
全作オンライン上映
カット・アバブ賞は佐藤浩市と渡辺謙
JS夏の日本映画祭「JAPAN CUTS 2020」

ジャパン・ソサエティー(JS)恒例の夏の映画祭「ジャパン・カッツ」が、7月17日(金)から30日(木)まで開催される。COVID-19対策により劇場閉鎖のため、今回はJS初となるオンラインで開催。いつものスタイルでは、ニューヨーク市近郊在住者しか観に来られないが、オンライン開催にすることで、全米どこにいても「来場」可能だ。


オープニングは上田慎一郎監督の「スペシャルアクターズ」(Special Actors © Shochiku Broadcasting Co., Ltd.)


新作からインディペンデント、ドキュメンタリー、クラシック、アニメ、アバンギャルドまで、さまざまなジャンルの長編映画30本、短編映画12本が一挙に上映される。全て日本語で上映、英語字幕付き。

毎年、上映作品の監督や俳優などの特別ゲストを迎え、舞台挨拶や質疑応答のセッションも設けられるが、今年はオンライン開催のため趣向を変える。ライブ配信や事前に収録した質疑応答、パネル討論会、映画制作者と当映画祭のプログラマーによるビデオメッセージなど、インタラクティブなプログラムを提供する。

オープニングは、上田慎一郎監督の「スペシャルアクターズ」。日本では2019年10月に国内上映が始まった作品だ。上田監督のライブ・バーチャルQ&Aが予定されている。上田監督は2017年「カメラを止めるな!」で鮮烈なインディーデビューを飾った。今回は待望の新作上映となる。

センターピースは、今年3月公開の新作「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」(監督・若松節朗)だ。主演は、佐藤浩市と渡辺謙という豪華な顔ぶれ。二人は今年の「カット・アバブ」賞の受賞者であり、ビデオメッセージも用意されている。

原作は、門田隆将著のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」。東日本大震災での福島第一原子力発電所事故発生時、発電所に留まり対応作業に当たった約50人の作業員、通称「フクシマ50」の闘いを描いた作品だ。新作日本映画の中では、初めてドルビービジョン、ドルビーアトモスを用いた制作作業を、日本国内で完結した作品でもある。


センターピースは若松節朗監督の「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」(Fukushima 50 © 2020 “FUKUSHIMA 50” Production Committee)

今年4月、82歳で亡くなった大林宣彦監督を偲び、2作品を上映する。まずは、遺作となった「海辺の映画館―キネマの玉手箱」。同作は、日本で今年7月31日公開予定の反戦映画だ。

もう1本は、プロデューサーである恭子夫人との長年のパートナーシップを描いたドキュメンタリー「ノンフィクションW 大林宣彦&恭子の成城物語〜夫婦で歩んだ60年の映画作り〜」。映画の街・成城で出会った2人の映画作りの歴史を、新作の制作の様子を交えて描く。

二人の娘である大林千茱萸(ちぐみ)監督が、バーチャル・パネルディスカッションに参加し、両親や映画作りについて語る。


大林宣彦監督の遺作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」(Labyrinth of Cinema © 2020 “Labyrinth of Cinema” Film Partners/PSC)


犬童一心監督、高橋栄樹監督の「ノンフィクションW 大林宣彦&恭子の成城物語 [完全版] ~夫婦で歩んだ60年の映画作り~」(Seijo Story © 2019 WOWOW Inc. / ADK Creative One Inc.)

クロージングは、今年の「ジャパン・カッツ」から設けられたアワード「大林賞」の受賞者によるライブ・バーチャルQ&Aセッション。次世代を担う若手の映画監督に贈られる賞で、「ネクスト・ジェネレーション」部門の7作品から1作品を選出する。受賞作品の発表は7月17日。

ビデオ・オン・デマンド
チケット販売は10日から


チケット販売は7月10日(金)から。全ての映画には1200枚のチケットが割り当てられ(「音楽」のみ600枚)、上限に達した時点で「売り切れ」となる。

上映は、ビデオ・オン・デマンド(VOD)モデルのレンタル方式。「ジャパン・カッツ」開催期間中、自分が観たい時に観賞できる仕組みだ。再生は「レンタル」開始から30時間の制限付きで、アメリカ国内からのアクセスのみ。ただし、無料のパネルディスカッションは視聴地域の制限無し。

観賞するためのシステム条件は、別記またはオフィシャル・ウェブサイトで確認を。詳細はJSまで問合せのこと。

Japan Cuts 2020
■7月17日(金)~30日(木)
https://japancuts.japansociety.org
■問合せ:Tel:212-715-1258
<

上映作品・チケット料金
■長編$7(JS会員$5.25)
■短編$1.50〜$3
★割引チケット・バンドル
★オールアクセス・パス$99


★長編・メイン部門(10作品) $39
・エキストロ
・Fukushima 50(フクシマフィフティ)
・火口のふたり(※18歳以上対象)
・海辺の映画館―キネマの玉手箱
・ミセス・ノイズィ
・甘いお酒でうがい
・音楽
・スペシャルアクターズ
・男はつらいよ お帰り 寅さん
・風の電話

★ネクスト・ジェネレーション(7作品)$29
・夜のそと
・コントラ
・タイトル、拒絶(※18歳以上対象)
・ある殺人、落葉のころに
・神様のいるところ
・轟音(※18歳以上対象)
・サクリファイス

★ドキュメンタリー・フォーカス(7作品)$29
・つつんで、ひらいて
・i-新聞記者ドキュメント-
・プリズン・サークル
・れいわ一揆
・ノンフィクションW 大林宣彦&恭子の成城物語
・おみおくり〜Sending Off〜
・だってしょうがないじゃない

★クラシック(3作品)$12
・男はつらいよ (第1作)
・男はつらいよ 寅次郎相合い傘(第15作)
・男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)

★エクスペリメンタル・スポットライト(3作品)$12
・セノーテ
・金太と銀次
・シェル アンド ジョイント

★短編: 全作 (12作品)$12
★短編: ドラマ (3作品)$5
★短編: ドキュメンタリー (5作品)$5
★短編: 実験 (4作品)$5

■パネルディスカッション(無料)
●大林監督についてのパネル討論会
●コロナ禍における日本映画業界の共同と連携
●日本におけるドキュメンタリー映画への
 新しいアプローチ

■イベント(無料)
●7月17日(金)
 オープニング・ナイト・ライブ
 上田慎一郎監督とのQ&A
●カット・アバブ・アワード
 佐藤浩市&渡辺謙
●7月30日(木)
 クロージング・ナイト・ライブ
 「大林賞」受賞者とのQ&A

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