2021年7月9日号 Vol.401

新展示「ミニョーネ・ホール」誕生!
鉱物と宝石を紹介
アメリカ自然史博物館

①清王朝後期、翡翠輝石で作られた観音像 Guan Yin lavender jadeite jade statue and other carvings

アメリカ自然史博物館に6月12日(土)、新展示ホール「アリソン・アンド・ロベレト・ミニョーネ・ホール・オブ・ジェムズ・アンド・ミネラルズ(Allison and Roberto Mignone Halls of Gems and Minerals)」(以下ミニョーネ・ホール)がオープンした。同スペースは同館150周年記念プロジェクトの一環として、改修のために2017年に閉鎖。昨年公開予定だったがコロナ禍で延期になっていた。

1869年の開館以来、宝石と鉱物は同館の定番コレクションのひとつ。今回、新装されたミニョーネ・ホールには、98ヵ国から収集した宝石や鉱物5000点以上が3つのセクションに分類されて展示。1万1000スクエアフィートのスペースは、これまで以上に壮観で、変化に富む地球を形成したプロセスを「鉱物」という視点から紐解く。

②鉱物ホールの展示風景 All photos by D. Finnin/©AMNH

宝石ホール

2500点以上の宝石、彫刻、ジュエリーを展示。ミャンマー産の100・3カラットのルビー、かつては世界最大のカット宝石として知られていた9・5ポンドのブルー・トパーズ、清王朝後期に翡翠輝石で作られた観音像=写真①=などが含まれている。その他、もろいことから「宝石」として定義するのが難しいとされる黒玉や琥珀、サンゴ、真珠など、「生物」によって形成された「オーガニック宝石」なども紹介している。



鉱物ホール

鉱物ホール=写真②=は4つのセクションに分類。鉱物が形成される環境とプロセスに特化した「鉱物の形成環境(Mineral Forming Environments)」、先史時代から現在まで、人間が鉱物をどのように利用してきたかなどを化学的に探求した「鉱物の原理(Minerals Fundamentals)」、科学者が鉱物を整理・分類するために使用する標本や、どのように鉱物が作られるかをインタラクティブに示す「体系的な分類(Systemic Classification)」、鉱物の光学的な特性や、光との相互作用を示した「鉱物と光(Minerals & Light)」など、同館らしい教育的要素が多く盛り込まれている。

③世界最大級のアメジスト・ジオード Amethyst Geode 1

ハイライトとしては、入り口に鎮座する世界最大級のアメジスト・ジオード(晶洞)=写真③=、1885年にマンハッタンの35丁目で発見され、今回が初展示となるアルマンディン(鉄礬柘榴石)「サブウェイ・ガーネット」=写真④=、ニュージャージー州スターリング・ヒルで採取された輝く蛍光石のパネル=写真⑤=などがある。

④初展示の「サブウェイ・ガーネット」Almandine (“The Subway Garnet”)

⑤NJ州で採取された輝く蛍光石のパネル Sterling Hill Fluorescent Rock Panel

9月19日まで
「美しい生き物」展


テンポラリー・スペースとなる「メリッサ・アンド・キース・マイスター・ギャラリー」では、特別展「美しい生き物(Beautiful Creatures)」が開催中だ。19世紀中旬から現在まで、生き物をテーマに制作されたジュエリーを展示=写真⑥=。カルティエ、ブルガリ、ヴァンクリーフ&アーペル、サルバドール・ダリなど、有名デザイナーやアーティストが手がけた100以上の作品が、3つのカテゴリー「陸上」「空中」「海中」で紹介されている。

⑥「美しい生き物」展からカルティエのネックレス Nils Herrmann, Cartier Collection © Cartier

現在、ミニョーネ・ホールへの入場は混雑を避けるため人数に制限有り。博物館到着後に、登録が必要となる。

Allison and Roberto Mignone Halls of Gems and Minerals (常設展)
※「Beautiful Creatures」は9月19日(日)まで
■会場:American Museum of Natural History
200 Central Park West
■開館:水〜日10:00am–5:30pm
■大人$23〜、3-12歳$13〜、学生/60歳以上$18〜
※NY州/NJ州/CT州住民(要ID)は入場料任意
https://www.amnh.org


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