2022年7月8日号 Vol.425

ブルックリンの植物園に多数の巣箱を設置
鳥と植物を通し、環境問題を考える
「フォー・ザ・バード」

①Sourabh Gupta, woven

ブルックリンの植物園「ブルックリン・ボタニック・ガーデン(BBG)」で、バードハウス(鳥の巣箱)をテーマにしたインスタレーション展「フォー・ザ・バード」が6月11日から始まり10月23日まで開催されている。

本展は、鳥の声をテーマにした音楽プロジェクト「フォー・ザ・バード:バードソング・プロジェクト」の一環で、33のデザイナー・団体が手がけた巣箱を園内至る所に設置したもの。鳥と植物の関係性を学ぶと同時に、作家の環境に対する「想い」が込められている。ここではその一部を紹介したい。



インド生まれでニューヨークを拠点に活動するデザイナーのサウラブ・グプタ作「ウォーブン(woven)」=写真①=。「私自身、インドから海を何千マイルも飛び越えてきた」というグプタ、庭でスズメが飛び跳ね、追いかけ合っていた様子から、風や空をイメージ。社交的な鳥たちの家を作り上げた。

②Olalekan Jeyifous, Birdega

ブルックリン・ベースのアーティスト、オラレカン・ジョイフォス作「バーデガ(Birdega)」=写真②=。急激な都市開発で消えてしまうデリや教会など「消えゆく都市」へのオマージュだ。ジョイフォスは、「それらは地元にとって不可欠な文化施設。この巣箱でその大切さを祝したい」と説明する。

③Misha Kahn, Bug as food as house

ミネソタ州出身のデザイナーで彫刻家のミーシャ・カーン作「バグ・アズ・フード・アズ・ハウス(Bug as food as house)」=写真③=。鳥が虫を食べることに着目し、「サンドイッチのように見える家」を制作。捕食される小さな虫を大きくしたことで、両者の関係がどれだけ壮観であるかを示した。

④Warby Parker, Books for Birds

本展のスポンサーでもあるNYのアイウェア・ブランド「ワービーパーカー」が手がけた「ブック・フォー・バード(Books for Birds)」=写真④=。人間が鳥を観察できるように「野生の生物も人間を観察できる」という考えに基づいたもので、図書館にヒントを得たリファレンス・デスクが設置されている。

⑤限定販売の「フォー・ザ・バード:バードソング・プロジェクト」セット(The Birdsong Project Box Set)

フォー・ザ・バード:バードソング・プロジェクト

プロジェクト「フォー・ザ・バード:バードソング・プロジェクト」には、200人を超える一流アーティストが協力。鳥の鳴き声をテーマにした242曲を収録した20枚のLPと、エッセイと絵を集めた60ページの限定本=写真⑤=を販売する。オノ・ヨーコやヨーヨー・マなども参加しており、売り上げの100%が鳥とその生息地保護を目的に活動する米非営利団体「全米オーデュボン協会(National Audubon Society)」(以下オーデュボン)の活動資金に充てられる。

オーデュボンは、1970年以降、北米全体で鳥の個体数が30%減少、その数およそ30億羽と推定。気候変動や大気汚染に関連する生息地の破壊が原因だと報告している。

For the Birds
■10月23日(日)まで
■会場:Brooklyn Botanic Garden
 入口(3ヵ所)
・150 Eastern Parkway
・455 Flatbush Ave.
・990 Washington Ave.
■入場料:大人$18、65歳以上$12 
 学生(12歳以上)$12、12歳以下無料
https://www.bbg.org

For the Birds: The Birdsong Project
www.thebirdsongproject.com


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