2023年06月23日号 Vol.448

多様な人種の「共存」訴え
WTCに新作登場
ミューラル・アーティスト DRAGON76

製作中のDRAGON76(Photo by KC of Yomitime)

ニューヨークを拠点に多くの壁画を手がけてきたミューラル(壁画)・アーティスト、DRAGON76(ドラゴン76)による最新作が6月上旬に、ワールド・トレード・センター(以下WTC)で完成した。場所は、オキュラス隣の2WTCビル、ヴェシー・ストリート(Vesey Street)側だ。



アメリカ同時多発テロによって破壊され、多くの人々が命を落としてしまったWTC。被害現場を少しでも美しく、皆に希望を感じて欲しいとWTCは2018年、「ミューラル・プロジェクト」を発足。ビルの壁や無骨な鉄板を、ユニークな壁画で飾ることで、道行く人々を楽しませている。

DRAGON76は2018年、依頼を受け建設中だった3WTC47階に壁画を製作。他にもWTC内のリバティーパークに2つの壁画を描いていた。

完成したミューラル(Photo by KC of Yomitime)

今回の作品は前述の3WTC47階での制作後に依頼を受けていたが、パンデミックで頓挫していたもの。テーマはDRAGON76が常に掲げる「共存(COEXIST)」で、女性と馬が大きく描かれている。先住民のネイティブ・アメリカンをテーマに、様々な文化をミックス、新たな未来を見据えた人物がモチーフだという。

「様々なアイデンティティーを持った人たちが行き交うワールド・トレード・センターで、多様性を表現するため、通常より多くの色を使いました」と説明する。女性のヘッドバンドには、「永劫回帰」を象徴する 「ouroboros(ウロボロス)」や、「愛」の文字も見える。高さ約10メートル、幅約20メートルという巨大絵画の迫力は言うまでもないだろう。

ちなみに、リバティーパーク内の2つの壁画は、教会建設のためにすでに撤去。力作が消滅してしまい残念だ。
いずれにしてもDRAGON76は、「この最高のロケーションで壁画を完成することができたことを本当に誇りに思います。この機会を与えてくれた全ての人々に感謝しています。皆さんもぜひ見に来てください」 と話している。

★壁画の場所
2 World Trade Center(Vesey Street側)


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