2023年06月23日号 Vol.448

生命に不可欠な樹木
人間ができることを問う
ブルックリン植物園「樹木の力」

①「The Heart of the Tree」と高氏菜津樹 (Photos by KC of Yomitime)

ブルックリンの植物園「ブルックリン・ボタニック・ガーデン(BBG)」で、「木」をテーマにした「樹木の力(Power of Trees)」が6月17日(土)から始まり、10月22日(日)まで開催されている。

人間を含むすべての生物に必要不可欠な樹木は、環境の悪化により危険にさらされ続けている。我々を守ってくれる存在の樹木に対し、「人間ができることは何か」をテーマに、展示、ツアー、家族向けプログラムなど、様々な視点から考える。

期間中、6人のBIPOC(黒人、先住民、有色人種)アーティストによる展示「Branching Out: Trees as Community Hosts(枝分かれ:コミュニティ・ホストとしての樹木)」が開催、園内6ヵ所で作品を披露している。



ニューヨークを拠点に活動するビジュアルアーティストの高氏菜津樹(たかうじ・なつき)は、「The Heart of the Tree(木の心臓)」=写真①=と題したオブジェを制作。上部にねじれた心臓のような幹があり、そこからぶら下がった色付きの管が中央のプランターへ水を供給。全体的には「根を張った木」のように見える一方で、ドレスのような構造が女性の姿を想起。

ステイトメントで高氏は、「枯れゆく木は、私たちを責め、不安にさせますが、それが命の源であることに変わりありません」とコメントしている。

②「Seed of Potential」とシーマ・リサ・パンディヤ (Photos by KC of Yomitime)

ブルックリン・ベースのアーティスト、シーマ・リサ・パンディヤは、「The Seed(種)」と「The Emerging Seed.(新たな種)」と題した2つのオブジェ「Seed of Potential(可能性の種)」=写真②=を発表。自然界における「フラクタル構造」=図形の全体を部分に分解していった時、全体と同じ形が再現されていく構造=や、自身が種を蒔き植物を育てた経験からインスピレーションを受けた作品。

「植物は何百という種子を生み出しますが、発芽する確率はかなり低い。アイディアとは、可能性に満ちた『種』のようなもので、成長させるには育む必要があるのです」とパンディヤは説明している。

③「Fingertips that touch the stars」とジャスミン・ムレル (Photos by KC of Yomitime)

「Fingertips that touch the stars(星に触れる指先)」=写真③=と題したオブジェは、ブルックリン・ベースのアーティスト、ジャスミン・ムレルが制作。星、月、太陽に加え、生命を維持する地球上すべての生物からインスピレーションを受けたという。

「木から学んだ最も重要なことは、何事も単独では成し遂げられないということです」とムレル。プレキシガラス・ミラーを使用して作られた「巨大な手」は、周囲の風景をその表面に取り込むことで、鑑賞者との対話を促す。

全作品詳細はウェブサイトで確認を。

Power of Trees
■10月22日(日)まで
■会場:Brooklyn Botanic Garden
 1000 Washington Ave., Brooklyn
■大人$18、65歳以上/学生12歳以上$12
 12歳以下無料
www.bbg.org/poweroftrees


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