2018年6月15日号 Vol.327

大川友希個展「メモリー」
個の繋がりを追求

大川友希


ブルックリンのパークスロープ地区にあるOSSAMギャラリーで、6月30日(土)から7月15日(日)まで、彫刻家・大川友希(ゆき)のソフトスカルプチャー展「メモリー」が開催される。
日本の伝統文化やその形を、古着や布地を使って再構成した作品群が展示される。「素材の転換」をコンセプトに、昔の人の思いや信念、歴史を表現している。
大川は、2012年愛知県立芸術大学を彫刻専攻で卒業。翌年初の個展を開いて以来、日本国内を中心に個展やグループ展に参加。建築家の湊健雄氏と、古着を用いた家具のリメイク活動にも力を入れている。
大川の制作活動は、様々な人から素材を譲り受け、その素材から所有者の蓄積された経験や気配を感じ取り、新たな物体へと紡ぎ直すこと。その手法で、「人間同士の繋がり」の多様さや、複雑さについて考えるのだという。今回展示される作品群も、その「人間同士の繋がり」を、見る者に今一度考え直す機会を与える。
インターネットの普及で、世界がより身近に感じられるその昨今。「反面、日本では個の結び付きは希薄になり、高齢化・引きこもり・過労による自殺等、孤独を想起する事象が増加している」と大川は言う。
「アメリカでは、個に対する支援や、高齢者を援助するインフラ、ボランティアやソーシャルサービスによる支援があるとニューヨークタイムズ紙の記事で知りました。アメリカの個の繋がりとは一体どんなかたちなのだろう。滞在する中でさまざまな人と出会い、古着を譲り受け、作品を制作しました」と大川。

■6月30日(土)〜7月15日(日)
■会場:OSSAM Gallery
 300-302 7th St., Brooklyn
info@ossamgallery.com
www.ossamgallery.com



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