2020年6月5日号 Vol.375

日本の水際対策
空港での検疫プロセスは?

日本における「水際対策強化に係る新たな措置」が、5月25日改訂された。外務省の海外安全ホームページと、ニューヨークの旅行会社IACEトラベルが提供する現場情報を参考に、日本への帰国についてまとめてみた。最新情報は、外務省の海外安全ホームページ(下記)を参照のこと。

外務省 海外安全ホームページ
www.anzen.mofa.go.jp


情報提供協力:IACEトラベル、ANA(全日空)
※掲載内容は2020年5月31日現在の情報です。予めご了承ください(編集部)


出典:成田空港検疫所ホームページ
https://www.forth.go.jp/keneki/narita


国際線の減便要請
6月末まで延長


改定された「水際対策強化に係る新たな措置」では、日本への入国拒否対象地域として新たに11ヵ国が追加されたほか(別記①)、査証制限等の措置と、外国との間の航空旅客便の減便要請も6月末日まで延長された。
外国からの旅客機の減便措置について外務省は、「検疫を適切に実施するためのもの」とし、「海外からの帰国が困難となる等の不安を感じられるかもしれませんが、外国との間の航空旅客便が全て運休することを意味するものではありません。帰国を希望する在外邦人や海外渡航者の皆様の円滑な帰国のため、適切に情報提供や注意喚起等を行ってまいります(抜粋)」と明記している。

(別記①)■外務省が指定する「日本への上陸拒否の対象地域」
5月25日現在、追加11ヵ国(インド、パキスタン、バングラデシュ、アルゼンチン、エルサルバドル、キルギス、タジキスタン、アフガニスタン、ガーナ、ギニア、南アフリカ)を加えた全111ヵ国。「14日以内にこれらの地域に滞在歴のある外国人は、特段の事情がない限り入国拒否対象とする」と外務省HPに記されている。日本国籍の人は上陸拒否の対象外。日本の「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」または「定住者」として在留資格を有する人は、5月26日までに再入国許可を持って出国した場合、日本への再入国は「原則可能」。5月27日以降に日本から以下の地域に渡航した人は、この上陸拒否の対象となる。詳細は外務省に問い合わせること。

【アジア】
○インド ○インドネシア ○韓国 ○シンガポール ○タイ ○台湾 ○パキスタン ○中国 (香港及びマカオを含む) ○バングラデシュ ○フィリピン○ブルネイ ○ベトナム ○マレーシア ○モルディブ

【大洋州】
○オーストラリア ○ニュージーランド

【北米】
○カナダ ○米国

【中南米】
○アルゼンチン ○アンティグア・バーブーダ ○ウルグアイ ○エクアドル ○エルサルバドル ○コロンビア ○セントクリストファー・ネービス ○ドミニカ国 ○ドミニカ共和国 ○チリ ○パナマ ○バハマ ○バルバドス ○ホンジュラス ○ブラジル ○ペルー ○ボリビア ○メキシコ

【欧州】
○アイスランド ○アイルランド ○アゼルバイジャン ○アルバニア ○アルメニア○アンドラ ○イタリア ○ウクライナ ○英国 ○エストニア ○オーストリア ○オランダ ○カザフスタン ○北マケドニア ○キプロス ○ギリシャ ○キルギス ○クロアチア ○コソボ ○サンマリノ ○スイス ○スウェーデン ○スペイン ○スロバキア ○スロベニア ○セルビア ○タジキスタン ○チェコ ○デンマーク ○ドイツ ○ノルウェー ○バチカン ○ハンガリー ○フィンランド ○フランス ○ブルガリア ○ベラルーシ ○ベルギー ○ポーランド ○ボスニア・ヘルツェゴビナ ○ポルトガル ○マルタ ○モナコ ○モルドバ ○モンテネグロ ○ラトビア ○リトアニア ○リヒテンシュタイン ○ルクセンブルク ○ルーマニア ○ロシア

【中東】
○アフガニスタン ○アラブ首長国連邦 ○イスラエル ○イラン ○エジプト ○オマーン ○カタール ○クウェート ○サウジアラビア ○トルコ ○バーレーン

【アフリカ】
○カーボベルデ ○ガーナ ○ガボン ○ギニア ○ギニアビサウ ○コートジボワール ○コンゴ民主共和国 ○サントメ・プリンシペ ○ジブチ ○赤道ギニア ○南アフリカ ○モーリシャス ○モロッコ
空港での検疫、6月末まで継続
延長の可能性も


日本国籍者で、過去14日以内に米国を含む入国制限対象地域・国(別記①)に滞在歴のある人を対象に、以下の流れで、6月末まで検疫措置の実施が継続されている。この措置は、6月末以降も延長される可能性がある。外国籍の人の入国は原則認められていない。
検疫のプロセスは概ね以下のようになる。

❶空港の検疫所で、質問表の記入、体温の測定、症状の確認。

❷入国者全員にPCR検査を実施。結果が判明するまで、自宅等(※1)、空港内のスペースまたは検疫所長が指定した施設等で待機する。現在の状況では、到着から入国まで数時間を要しており、検査結果がわかるまで1~2日程度かかる。(※1)自宅等で検査結果を待つ場合は、症状がないことと、公共交通機関(鉄道、バス、タクシー、国内線航空機、旅客船等)を使用せずに移動できることが条件となる。事前に家族や勤務先などに迎えを頼むか、自分でレンタカーを手配するなど、移動手段の確保が必要になる。
また、検査結果が判明するまでは、自分で確保したホテル、旅館等の宿泊施設に移動することはできない。そうした場所では不特定多数との接触の機会が多くなると想定されるため。空港内スペースで待機するか、もしくは検疫所指定の施設で待機することになるが、その間、予約したホテルなどへのキャンセル料は自己負担となる。

❸検査結果が陽性の場合、医療機関への入院、または宿泊施設等で療養する。

❹検査結果が陰性の場合も、入国から14日間は、自宅や宿泊施設等(※前述参照)で不要不急の外出を避け、待機することが要請されるとともに、保健所等による健康確認の対象となる。自主隔離するホテルや旅館などは、出国前に自分で予約し、その費用も自己負担となる。

厚生労働省が紹介する
ハイヤー会社ほか

空港から自宅、ホテルなどへの移動の際、公共の交通機関が使えないとなると、誰かに迎えに来てもらうか、自分でレンタカーをするかだが、そのいずれも不可能な時のために、厚生労働省がウェブサイトで、基準を満たすハイヤー会社、またはそれを手配できる旅行会社を紹介(別記②)している。いずれも、利用については各社に直接問い合わせること。

検査結果を待つ間、空港内で待機する場合は、荷物の受け取りなどは可能。ただし、待機する場所等によりその取扱いが異なるので、詳しくは検疫通過後に職員に尋ねること。

「検疫所長が指定した施設等」とは、主に空港周辺の宿泊施設などを指す。旅客機の到着時間や、家族の人数などの諸条件によっては、希望に添わない条件の施設になる可能性もある。空港から、検疫所長が指定した施設への移動は、国が用意したバスを利用できる。これらの宿泊施設には、厚生労働省職員が常駐しているので、不明な点を確認することができる。

(別記②)厚生労働省が紹介するハイヤー会社
■株式会社スター交通
www.s-koutsu.com
■株式会社都市交通
www.rakurakutaxi.jp
■株式会社かすみ交通
www.kasumi-taxi.jp

航空会社の取り組みは?

新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、各航空会社は様々な取り組みを行っている。空港での検温、ソーシャルディスタンス、機内の消毒、乗務員の手袋やマスク着用に加えて、乗客にもマスク着用を奨励(航空会社により異なる)。発熱や呼吸困難などが見られる場合は、搭乗を断ることもある。

機内の空気は3分で入れ替わる

「気密性が高い機内で、感染はしないのか?」という不安に対し、ANA(全日空)はウェブサイト(別記③)で「機内の空気循環について」を図を用いて案内。それによると、▼上空のきれいな空気を大量に取り込み、約3分で機内の空気が全て入れ替わる ▼病院の手術室の空調設備にも使用されている高性能フィルターを全機に装備し、機内の空気はろ過された上で客室内に供給 ▼空気は客室内に滞留せず常に天井から床下へ流れているため、客室内や特定の場所に滞留することはない、としている。

(別記③)ANAウェブサイト
「機内の空気循環について」
www.ana.co.jp/ja/jp/topics/notice200502/


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