2019年5月31日号 Vol.350

NY倫理友の会
川村国連大使を迎え
国同士の信頼重要

NY倫理友の会
川村氏(左)とリンゼイ氏


ニューヨーク倫理友の会(リンゼイ芥川笑子理事長)の第19回「春のランチョン」が、5月16日(木)、ミッドタウンのしんばしレストランで開催された。約60人が集まり昼食を楽しみ、交流した。
 春先にリンゼイ理事長が怪我で入院し心配されていたが、リハビリ後に回復を見せ、ランチョンにも元気に参加。会場から大きな拍手が贈られた。
 今年は、ゲストスピーカーに国連日本政府代表部特命全権大使/国連日本政府次席代表の川村泰久氏が夫人を伴って参加。「『ファースト(first)』時代の日本の国連外交」というテーマで講演した。
 川村大使は、19 81年外務省入省。アメリカ、スイス、インドネシアなどで、書記官、参事官などを歴任後、2015年外務報道官となり、17年から現職。10〜13年はニューヨークの総領事館勤務だったので、ニューヨーク赴任は4年ぶり2度目。ランチョンでの講演は、一般の人の日常からは考えられない国連大使としての職務について、生の声を聞く貴重な機会となった。
 この日のテーマについて、「ファースト」が国連でもキーワードとなっていることについて触れ、「どの国も自分の国第一(ファースト)の立場から外交を行っており、それが受け入れられる環境のために国連があります」と話した。
 国連の歴史を振り返り、アメリカがその創設から、人権擁護や途上国の開発などのために、多大な努力をしてきていること、今でも国連予算の4分の1はアメリカが捻出していることなどを話すと、会場からは「なるほど」と言う声が漏れた。
 そして、そのアメリカと一緒に国際社会に貢献してきたのが日本。「最も国連を支えている国の一つ」だと強調。90年代の政府開発援助(ODA)は日本が世界一で、途上国を支えてきたのは日本だったこと、安保理の非常任理事国としての日本の存在は大きいこと、国連予算でも日本は今第3位の貢献国(昨年までは2位)であることなど、国連の中での日本の信頼度の高さを強調した。
 テロ撲滅のための『根本治療』として、途上国の学校を守る活動についても触れた。「学校が破壊され、居場所がなくなった子どもたちを路上でテロ組織がリクルートするという、負の連鎖を止めることが先決」とし、アフリカのマリにその活動のために国連派遣団として訪問した時のことを話した。
 「自分も、一緒に行った他国の大使も、テロ襲撃を受ける可能性を知りつつ、覚悟の上で出向く。そのことでさらに大使同士の信頼が高まり、それが国同士の信頼にも繋がる」とし、まさに命がけの外交の様子を、ユーモアを交えながら披露。来場者の関心を集めた。


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