Pablo Picasso, The Blue Room, 1901, Oil on canvas, 19 7/8 x 24 1/4 in. The Phillips Collection, Acquired 1927 © 2022 Estate of Pablo Picasso / Artists Rights Society (ARS), New York
首都ワシントンにある美術館「フィリップス・コレクション」のお宝ともいうべきピカソの油彩画「青い部屋」。巨匠ピカソの長い画業の中でも、「青の時代」(1901〜04)と呼ばれる絵画スタイルを代表するこの絵は、まだ19歳のピカソが2度目のパリ滞在中に描いたもの。いわば青の時代の出発点をなす一点だ。
Pablo Picasso, Two Women at a Bar, Barcelona, 1902, Oil on canvas, 31 1⁄2 x 36 in. Hiroshima Museum of Art, Japan © 2022 Estate of Pablo Picasso / Artists Rights Society (ARS), New York
本展は、こうした科学的根拠を横軸に、パリとバルセロナを行き来しつつ、新しい絵画表現を追求した若きピカソの展開を多くの作品例を通して跡づけている。実際、ピカソにとって画布の再使用とは、今描いたばかりの自作をさえも否定し、新たな手法を試みる挑戦の場だったようだ。
Pablo Picasso, The Soup, 1903, Oil on canvas, 15 3/16 x 18 1/8 in. Art Gallery of Ontario, Gift of Margaret Dunlap Crang, 1983. 83/316 © 2022 Estate of Pablo Picasso / Artists Rights Society (ARS), New York
日本から貸し出された絵画も少なくない。ひろしま美術館の「酒場の二人の女」、ポーラ美術館の「海辺の母子像」、アサヒビール大山崎山荘美術館の「肘を付く女」、愛知県美術館の「青い肩かけの女」、三重県立美術館のパステル画「ロマの女」と計5点。どれも傑作揃いで、日本のコレクションのレベルの高さに驚かされる思いである。
Henri Matisse, The Red Studio, 1911. The Museum of Modern Art, New York © 2022 Succession H. Matisse / Artists Rights Society (ARS), New York
ピカソの青に対してマチスの赤。何ともタイムリーな展覧会がMoMAに登場した。ここでの一点は、同館所蔵の有名作「赤いアトリエ」である。画面には、モデルも、自画像としての画家の存在もない。主役はあくまでも、レンガ色の赤、平面的に塗られた色自体であり、強いていえば、その色の海に浮遊する自作の絵画や彫刻だろうか。