2018年5月25日号 Vol.326

NY倫理友の会・第18回春のランチョン
日本古来の歴史観と大和心、美意識の復活を
しんばしで高崎康裕氏迎え


高崎氏(左)とリンゼイ氏


ニューヨーク倫理友の会(リンゼイ芥川笑子理事長)恒例の「春のランチョン」が、5月17日(木)、ミッドタウンのしんばしレストランで開催された。今年で18回目を迎え、約60人が集まり昼食を楽しみ、交流した。
今年のゲストスピーカーは、YTリゾルーションサービス社社長の高崎康裕氏。事業開発や、各種施設の開発企画・設計・施工管理業務までを一貫して手掛けている。シミズ・ディベロプメント社社長、ディリンガム・コンストラクション代表取締役などを歴任、企業人として活躍するかたわら、東北大学で特任教授をするなど学術分野でも貢献している。
今回のランチョンでのスピーチは、ニューヨーク歴史問題研究会会長という立場から、「日本人とその美意識〜もののあはれと漢意(からごころ)〜」というテーマで話をした。日本人の美意識や倫理観はどうやって育まれてきたのかを、日本の長い歴史の中で解説した。
桜や自然の美に見る無常を詠み、和歌という形で後世に残した数々の歴史上の人物。彼らの和歌から、日本的な「自然観」「死生観」「歴史観」「もののあはれ」「大和心」といったものを探った。難解な古典文学を現代語に訳しながらの解説に、参加者らは聞き入っていた。
その「大和心」の流れから、では「漢意(からごころ)」とは何か。中国の文化に影響され、それをグローバルスタンダードと考えることを指し、国学者・本居宣長が提唱した批評用語の一つだが、高崎氏はこれを、宣長の和歌を紹介しながら解説した。
最後に、これを現代に置き換え、よく「アメリカでは」「ヨーロッパでは」と、物の正誤の基準を欧米に求める風潮があるが、それが現代の「漢意(からごころ)」というものであることだと指摘した。
「敗戦国である日本は、必要以上に自らを貶めるが、これからはそれではいけない。今こそ、日本古来のふくよかな歴史観と大和心、美意識の復活を目指す時だと思います」と高崎氏は語った。大学の講義のような、難しくも楽しく、目から鱗が落ちるような話題とトークに、参加者は大きな拍手を送った。


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