2021年5月14日号 Vol.397

仏教イメージにインスパイア
ハーレムの公園に出現
「リクライニング・リバティ」

作品の前に立つザック・ランズバーグ Photo courtesy: Marcus Garvey Park Alliance (MGPA)

ハーレムのモーニングサイド・パークに5月7日(金)、片肘をついて横になった自由の女神「リクライニング・リバティ」が出現した。昨年11月22日に公開予定だったが、コロナ禍で延期されたもので、2022年4月25日(月)まで展示される。手掛けたのは、ハーレムを拠点に活動する彫刻家のザック・ランズバーグ。全長25フィートで、主に樹脂石膏で形成された像。表面に色を塗り、オリジナルの「自由の女神」の緑青(ろくしょう)を模倣している。



ステイトメントでランズバーグは、モニュメントを「権力の象徴」と位置付けた上で、「ランドマークは、政治と美学の接点だ。モニュメントが設置された場所や時代背景、それが何を意味し、どのように近隣コミュニティを形作り、どのような影響を及ぼしているのか。それらを再構築することに関心がある」とする。

Photo by KC of Yomitime

「仏教のイメージにインスパイアを受けた」と言う通り、お釈迦様が入滅する(亡くなる)ときの様子を模した涅槃仏(ねはんぶつ)とアメリカのシンボルを融合させた「リクライニング・リバティ」。ランズバーグによれば「横になった仏陀は、『死』だけでなく『悟り』の道を示すもの。アメリカは永遠に直立し背の高い存在であるのか、それとも衰退して崩壊するのか…自由の女神が表現している理想の状態を、鑑賞者に熟考して欲しい」という。

Photo by KC of Yomitime

自由に触って登れる「リクライニング・リバティ」は、「対話が可能な記念碑」として地域に溶け込みながら、人々にアメリカの未来を問いかけている。


Zaq Landsberg:Reclining Liberty
■2022年4月25日(月)まで
■会場:Morningside Park
 W. 120th St とMorningside Ave.の公園入口
https://marcusgarveyparkalliance.org


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