2022年5月13日号 Vol.421

NYPDや領事館が注意喚起
市内の治安情勢悪化
被害報告を出すことも重要

ニューヨーク市内で、アジア系へのヘイトクライムを含む犯罪発生件数が増加している。在ニューヨーク日本国領事館に寄せられる日本人の被害報告も増えているため、同館が今一度、ニューヨーク近郊在住の日本人に注意を喚起している。

領事館によると4月27日夕方、マンハッタン西23丁目(5番街と6番街)を、保護者と一緒に歩行していた在留邦人の子どもが、前方から歩いてきたビジネスマン風の男に突然無言で顔を蹴られて転倒し、手を負傷したとの報告があったという。その男はそのまま歩き去り、保護者が付近を通りかかった警察車両を止め、警察官に事情を説明。その後、警察で被害届を提出したとのこと。

領事館は、「特に女性や子どもに対し、嫌がらせや暴力が向けられるケースが目立っています」としている。



今回、子どもが被害に遭ったケースでも、一見普通に見える人物による突然の暴力であり、予防策を講じることも難しい。領事館は在留邦人に対し、「常日頃から、報道等により最新の犯罪事例、傾向などの情報入手に努め、外出する際は夜間外出や人通りの少ない道は避ける、不審な人物には近付かない、人通りの多い場所では周囲の動きに注意するなど、警戒心をもって行動し、被害に遭わないための安全確保を心がけてほしい」と呼びかけている。

被害に遭った場合は、警察に被害届けを提出すると同時に、領事館にも報告してほしいということだ。

NYCが制作・配布した日本語版ポスター

ニューヨーク市警
ヘイトクライム・タスクフォース


ニューヨーク市警には、「ヘイトクライム・タスクフォース」という、偏見による事件捜査に特化したチームがあり、被害者が警察に被害報告を出すことの重要さを強調している。
このタスクフォースは日本語でのパンフレットも発行しており、それには「報告があることで捜査に繋がり、ひいてはさらなる被害を避けることにつながる」としている。
警察は移民ステータスを問わないので、違法滞在者もためらわず報告してほしいとのこと。被害報告は、911に電話するか、最寄りの交番に行って行う。さらに、カウンセリングや法的支援、医療、財政支援に関する情報を入手したい場合や、警察への被害報告を提出する際に支援が必要な場合は直接連絡(別記①)を。
タスクフォースには、アジア人スタッフが24時間体制で待機し、必要に応じて通訳、翻訳をすることで、外国人被害者をサポート。被害者が泣き寝入りせず、積極的にサービスを利用することを求めている。

ニューヨーク市
ストップ・アジアン・ヘイト


ニューヨーク市でも引き続き、「ストップ・アジアン・ヘイト(Stop Asian Hate)」と題したアジア人に対する偏見・差別・憎悪に対処するためのツールキットを配布している。また、「被害者が発言することが重要である」とし、事件を報告しやすいように、差別報告サイト(別記②)も設置。同サイトを利用するほかにも、ハッシュタグ#StopAsianHateを使用して、被害を報告・共有するよう呼びかけている。

①NYPDヘイトクライムタスクフォース
■Deputy Inspector Mark Molinari
 Commanding Officer
 Hate Crime Task Force
 19 ½ Pitt St. 3rd Fl.,New York, NY 10002
■TEL: 646-610-5267
asianhctf@nypd.org

②NY市ヘイトクライム報告サイト
https://www1.nyc.gov/site/cchr/about/report-discrimination.page

在ニューヨーク日本国総領事館
■TEL:212-371-8222(代表)
ryoji@ny.mofa.go.jp


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