2023年05月12日号 Vol.445

テッド・クラハラ個展
〜抽象絵画70年の軌跡〜

CADMIUM RED MEDIUM AND DEEP, 2015

日本クラブ内日本ギャラリーで5月12日(金)から25日(木)まで、個展「テッド・クラハラ 〜抽象絵画70年の軌跡〜」が開催される。

クラハラは、97歳の日系アメリカ人アーティスト。色面を無限の奥行きに変えるミニマルなスタイルの作品で知られる。今回は、2010年から現在までの作品を中心に、近作を紹介する予定だ。



クラハラは1925年7月16日、ワシントン州シアトルで生まれた。一家はホテルを営んでいたが、第二次世界大戦中の1941年、アイダホ州ミニドカ日系人強制収容所に収用される。1944年18歳で米軍に志願し、日系アメリカ人で構成された第442連隊戦闘団で戦地に赴いている。

アートを勉強し始めたのは終戦後だ。1947年に除隊すると、ワシントン州立大学で美術を学び、イリノイ州ブラッドリー大学大学院で美術修士号を取得している。

卒業後はイリノイ州、アイオワ州で教職に就いたが、1958年アート・イン・アメリカの「アメリカのニュー・タレント」招待展でメダルを受賞。アーティストとしてのスタートを切った。エネルギッシュなモノクローム抽象画は、現代アメリカと伝統的な日本のマークメイキングを融合させたものとして称賛された。

ニューヨークに拠点を移したのは1959年。現在、クラハラ独自のスタイルとして知られる「単色の、シンプルで静かなブロック」作品は、1981年に発表した一連の白い絵画から始まったものだ。

60年代から80年代にかけ、ワシントン大学フォード財団客員芸術家プログラムのレジデンシー、グッゲンハイムと全米芸術基金など数々のフェローシップを授与されている。その間、世界中で作品を発表しながら、プラット・インスティチュートやニューヨーク大学などで美術を教えた。

2008年以降は、リーマンショックに始まり近年のコロナ禍、そして妻の死去と、「初めてアーティストとして停滞感を感じた」としている。

この苦難の時代を経て、97歳になる今も絵画の制作を続けている。日本ギャラリーでの個展は、クラハラにとってリニューアルの機会となる。

■5月12日(金)〜25日(木)※週末閉館
■会場:日本ギャラリー (日本クラブ7階)
 145 W. 57th St.
■入場無料
■問合せ:TEL: 212-581-2223
 gallery@nipponclub.org
www.nipponclub.org


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