2018年5月11日号 Vol.325

歌好きな少女が手にした栄光と闇
20曲以上で紹介する半生
「サマー:ドナ・サマー・ミュージカル」


Ariana DeBose as "Disco Donna" and company


(l to r) LaChanze is "Diva Donna", Ariana DeBose is "Disco Donna" and Storm Lever is "Duckling Donna". Photo by Kevin Berne


70年代後半、「ディスコ・クイーン」と評され一世を風靡したアメリカのシンガーソングライター、ドナ・サマー。その半生を綴ったミュージカル「サマー」が開幕した。

1948年、ボストンで生まれたドナ。彼女が初めて大勢の前で歌ったのは10歳だった。ある日曜日のこと、ドナが通っていた教会で、歌う予定のシンガーが現れなかった。ドナの両親から、彼女は歌うことが大好きだと聞いていた司祭は、「少女が歌えば、少なくとも微笑ましい光景になるだろう」と考え、ドナを誘う。
後に、ドナの父はインタビューで「あなたがもし、あの教会の3列目にいたならドナの姿は見えなかったでしょう(それほど彼女は小さかった)。でもドナの声は、皆に届いていた」とコメント。その華奢で小さな身体から発せられた歌声は、誰も予想しなかったほど、力強く美しいものだった。
高校時代、学校のミュージカルに出演し人気者になったドナ。卒業のわずか数週間前に高校を中退、ニューヨークへと向かった。

ミュージカル「サマー」では、そんなドナのボストン時代と、栄光を掴みながらも転落していく人生をなぞる。牧師や夫からの虐待、うつ病など、ドナが乗り越えた困難なども描かれる。
ドナ役は3人。少女時代「ダックリング(アヒルの子)・ドナ」を演じるストーム・レバーは、今回がブロードウェイ・デビュー。「ディスコ・ダナ」時代を演じるのは、「ブロンクス物語」「ハミルトン」に出演したアリアナ・デボース。「ディーバ・ドナ」時代を演じるのは、2006年のトニー賞ミュージカル部門で最優秀主演女優賞に輝いたラシャンゼ。今年5月1日に発表されたトニー賞ミュージカル部門で、主演女優賞にラシャンゼが、助演女優賞にデボースがノミネート。その歌唱力の高さが窺える。
ヒット曲を含め、20曲以上で構成されたドナ・サマーの「ジュークボックス」だ。

SUMMER: The Donna Summer Musical
■会場:Lunt-Fontanne Theatre
 205 W. 46th St.
■$48〜
■上演時間1時間40分
thedonnasummermusical.com



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