2021年4月30日号 Vol.396

メトロポリタン恒例の屋上展示
変容がもたらす無限の可能性
アレックス・ダ・コルテ「太陽が続く限り」

Alex Da Corte, As Long as the Sun Lasts, 2021. Courtesy The Metropolitan Museum of Art, photo by Anna-Marie Kellen

今年でシリーズ9回目となるメトロポリタン美術館恒例の屋上展示「ルーフガーデン・コミッション」が、4月16日(金)に始まり、10月31日(日)まで開催。今回は、ニュージャージー州生まれでフィラデルフィアを拠点に活動するポップアーティスト、アレックス・ダ・コルテの「As Long as the Sun Lasts(太陽が続く限り)」が設置された。



動く彫刻「モビール」の発明と制作で知られる現代美術家のアレクサンダー・カルダーの作品にインスパイアを受けたダ・コルテ。有名なセサミストリートのキャラクター、ビッグバードを主役にした、高さ20フィートのキネティック・アートを完成させた。

Alex Da Corte, As Long as the Sun Lasts, 2021. Courtesy The Metropolitan Museum of Art, photo by Anna-Marie Kellen

作品タイトルはイタリアの小説家イタロ・カルヴィーノが、新しい探検の可能性について書いた短編から名付けられたもの。ダ・コルテのビッグバードが「青い」のは(オリジナルは黄色)、彼が幼少時、ベネズエラで観たブラジル版のセサミストリートで青い鳥のマペット「ガリバルド」が登場していたこと、映画「フォロー・ザット・バード」(1986年)で、捕えられたビッグバードが青く塗られたことに由来する。

Alex Da Corte, As Long as the Sun Lasts, 2021. Courtesy The Metropolitan Museum of Art, photo by Anna-Marie Kellen

三日月(みかづき)に腰掛け、物憂げに空を見上げるビッグバード。手に持ったハシゴは短すぎ、天へ登ることも、地上へ降りることもできずに困惑しているようだ。

爽快と憂鬱、楽観と悲観。中空でユラリユラリと回転するビッグバードは、「安定は幻想である」ことを表し、「変容」がもたらす無限の可能性を示している。


As Long as the Sun Lasts
■10月31日(日)まで
■会場:The Met Fifth Avenue
 1000 Fifth Avenue
■大人$25、シニア$17、学生$12
 12歳以下無料
※NY州住民とNY/NJ/CTの学生は入場料任意
https://www.metmuseum.org


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