2023年04月28日号 Vol.444

子ども向けと侮るなかれ
熱狂せずにいられない!
「アラジン・ザ・ミュージカル」

①(左から)アンジェロ・ソリアーノ(スウィング、代役イアーゴ/オマール)、デニス・ストウ(ジャファー)、マイケル・マリアケル(アラジン)、ソニア・バルサラ(ジャスミン)、マイケル・ジョームズ・スコット(ジーニー) Photo by KC of Yomitime

今年3月20日で10年目に突入したブロードウェイ・ミュージカル「アラジン」。ディズニーの同名アニメ映画(1992年)を原作に、華やかで活気に溢れる作品として不動の人気を誇り、これまでに累計430万人を動員。近年最大のヒット作品のひとつに上がる。

物語は、平民のアラジンが、王女のジャスミンと出会って恋に落ち、ランプの精ジーニーの力を借りて問題を解決し、めでたしめでたし♥というディズニーらしい王道的な展開だ。

4月11日、9周年を祝して行われたメディア・デーに、主要キャストが集結した=写真①=。


今回のアラジン役でブロードウェイ・デビューを果たしたNJ出身のマイケル・マリアケルは、インド移民を両親に持つ長身のイケメン。アメリカで生まれ育ったマイケルだが、そのルックスゆえに「外国人」だと思われることもあると打ち明ける。

「東洋のルーツを持つ自分がブロードウェイのステージに立つことで、こども達の目標になることが私の望み。自らのバックグラウンドに誇りを持って、挑戦して欲しい」と、後続にエールを送る。

マイケル・マリアケル(アラジン)Photo by Matthew Murphy / ALADDIN the Musical

同じく、ブロードウェイ・デビューを果たしたのは、ジャスミン役のソニア・バルサラ。今年1月からメンバー入りした新プリンセスで、日本でのパフォーマンス経験を持つ。華麗な衣装と美しい出立ちは、少女たちの憧れの的だ。

「舞台から客席を見渡すと、ジャスミンの衣装に身を包んだ子ども達が手を振ってくれるのがとても嬉しい。ただ一度、観劇に来ていた父と目があった時には、思わず感情がこみ上げ、泣きそうになりました」。その日は父親が座っている方を見ないようにして、演技を続けたという。

ソニア・バルサラ(ジャスミン)Photo by Matthew Murphy / ALADDIN the Musical

「主役」と言っても過言ではないのが、ランプの精ジーニーだ。演じるのはマイケル・ジェームス・スコット。数々のブロードウェイ・ミュージカルに出演経験を持つ実力派で、ジーニー役は2016年から。出番は一幕の中盤からだが、彼がステージに現れると会場のボルテージは一気に上昇する。

「人々から愛される素晴らしい作品に出演できてとても光栄です。スタッフや観客の情熱とエネルギーがシアター全体に満ち溢れる『アラジン』では、ステージに登場した瞬間にそのパワーを一身に感じ、それが原動力となって『魔法』が弾ける。ぜひ、その素晴らしい瞬間を私たちと一緒に味わって欲しい」とマイケル。ジーニーの登場は一幕の大きな見せ場、ステージと観客が一体となる瞬間だ。

マイケル・ジョームズ・スコット(ジーニー)Photo by Matthew Murphy / ALADDIN the Musical

物語を面白くするため不可欠なのが「悪役」の存在。王位の座を狙う国務大臣ジャファー役は、デニス・ストウが怪演する。「素晴らしいスタッフやキャストと共に、『アラジン』の一員として舞台に立てることが本当に嬉しい」と話すデニスは、多くの話題作に出演経験を持つ大ベテランだ。

アンジェロ・ソリアーノは、「スウィング(アンサンブルと代役)」で、アンサンブルの他、ジャファーの僕(しもべ)イアーゴと、アラジンの友人オマールの代役を担当。彼も本作でブロードウェイ・デビューを果たしたひとりだ。

Photo by Matthew Murphy / ALADDIN the Musical

「フレンド・ライク・ミー」を歌いながら11万5000回以上の花火を打ち上げたジーニー。魔法の絨毯に乗って既に100マイル以上を飛行し、高らかに「ホール・ニュー・ワールド」を歌い上げるアラジンとジャスミン。物語を知っていても、映画を観ていても、「いよっ!待ってました!」と熱狂せずにはいられない。

子ども向けと侮ることなかれ。さすがはディズニー、あっぱれブロードウェイ!

ALADDIN the Musical
■会場:New Amsterdam Theatre
 214 W. 42nd St.
■$64〜
■上演時間2時間30分
https://aladdinthemusical.com


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