2018年4月27日号 Vol.324

Dチルドレン揃えドミンゴ指揮
新キャストで再演
オペラ「ロメオとジュリエット」


Ailyn Pérez as Juliette in Gounod's Roméo et Juliette. All Photos by Ken Howard/Metropolitan Opera.


A scene from Gounod's Roméo et Juliette


Joshua Hopkins as Mercutio and Andrea Shin as Roméo


昨シーズン、バートレット・シャーの新演出に衣替えしヒットを飛ばした豪華な演目「ロメオとジュリエット」が、新たなキャストで再演される。
これまで、さまざまなキャストで映画化され、誰もが知っているシェークスピアの悲恋物語。オペラだけでなく、アメリカンバレエ・シアター(ABT)でも「ロメオとジュリエット」は、ニューヨーカーに人気のレパートリー。今シーズンもMETオペラのシーズンが終了した後に同じメトロポリタン歌劇場で上演される。バレエ版の音楽はセルゲイ・プロコフィエフが作曲している。
この他にもチャイコフスキーが作曲した演奏会用の幻想曲「ロメオとジュリエット」が、NYフィルなどにより頻繁に演奏されるなど、人気の高い題材として500年以上たつ現代でも人々に感動を与え続けている。
今シーズンは、オペラを知り尽くした巨匠プラシド・ドミンゴ(御年77歳!)が指揮棒を振り、若手の2人が主演する。ジュリエットを演じるアイリーン・ペレスはシカゴ出身。2006年プラシド・ドミンゴ国際オペラコンクール「オペラリア」で第2位、2012年リチャード・タッカー賞など数々の賞を射止め、2015年「カルメン」のミカエラでMETデビューを果たした。今シーズンは、「タイス」の主役、「フィガロの結婚」の伯爵夫人、そして今回のジュリエットと3役で舞台に立つという大活躍ぶりだ。
相手役のブライアン・ハイメルは、ニューオーリンズ出身、2012年に「トロイアの人々」のアエネイスでMETデビュー後、ピンカートン、ボエームのロドルフォなどポピュラーな役で活躍中。
ローラン神父を演じるクヮンチョル・ヨンも第1回ドミンゴ「オペラリア」の受賞者。ドミンゴ・チルドレンを揃えたキャストでの息の合った舞台となりそう。

▼あらすじ
14世紀のヴェローナが舞台(METの演出では18世紀)。キャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込んだ仇敵モンタギュー家の息子ロメオは、キャピュレット家の娘ジュリエットに一目惚れ、二人は互いに運命の人との出会いを感じることに。その夜、キャピュレット家の庭に忍び込み、バルコニーに出てきたジュリエットと愛を誓い、敵同士と知っても離れられない二人はひそかに結婚式を挙げる。しかし、両家の喧嘩に巻き込まれたロメオは、ジュリエットの従兄のティバルトを殺してしまい、ヴェローナ公爵によって町から追放される。ジュリエットは縁者パリス伯爵との結婚を言い渡される。絶望するジュリエットにローラン神父が仮死状態になる薬を渡す。「目覚めた時にはロメオが隣にいるようにしよう」と神父は約束する。ロメオはキャピュレット家の霊廟にやってきてジュリエットを見つけると、彼女が死んでいるものと思い毒をあおる。その瞬間ジュリエットが目を覚まし、二人は最後にもう一度だけ共に過ごす未来の夢を見る。ロメオが衰弱し始めると、ジュリエットは隠し持っていた短剣を抜いて自らの胸を刺す。二人は神に許しを請いながら息絶える。(針ヶ谷郁)

Romeo et Juliette
■4月23日/27日
 5月1日/5日(M)/9日/12日(M)
■シャルル・グノー作曲、フランス語上演
■原作:ウィリアム・シェイクスピアの戯曲
■初演:1867年パリのリリック劇場
■演出:バートレット・シャー
■指揮:プラシド・ドミンゴ
■配役:ジュリエット:アイリーン・ペレス
    ロメオ:ブライアン・ハイメル
    ステファノ:カリーン・デシャイエス
    メルキュシオ:ジョシュア・ホプキンス
    ローラン神父:クヮンチョル・ヨン
■チケット:212-362-6000
www.metoperafamily.org



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