2020年4月17日号 Vol.372

「一時停止」の演劇界
「人々の心の栄養に!」
YouTubeで無料配信


「宝島」:ファミリーでロンドンの舞台を観られます


「歌舞伎:松本白鸚、中村吉右衛門、片岡仁左衛門と豪華な顔ぶれ


「ハミルトン」:オンラインコンサートの編集のお手本のよう!


世界の演劇界でもコロナ禍が止まらない。ブロードウェイは、4月12日までの公演中止期間を6月7日まで延長。ロンドンのウエストエンドも5月31日まで休演が続く。いずれも今後の状況次第でまた延長になる可能性も高い。
事実、オフ・ブロードウェイでは、マンハッタン・シアター・クラブ、シグネチャー・シアターなど多くの演劇団体が秋までの公演を全てキャンセルした。
3月から公演を中止していた東京の歌舞伎座では、緊急事態宣言の発令で、5月から7月に予定されていた市川海老蔵の團十郎白猿襲名披露公演まで延期となった。
ニューヨーク・タイムズには「コロナウイルスによって亡くなった著名人」というシリーズがある。3月24日、トニー賞受賞劇作家テレンス・マクナリーの死去が報じられ、数々の演劇人が哀悼の意を表明した。志村けんさんの訃報も掲載されている。「ムーラン・ルージュ!」の主演男優アーロン・トゥヴェイト、「ウェイトレス」の作曲家で主演も果たしたサラ・バレリスらも陽性を告白。症状や経緯を詳細に語り、誰もが罹患する可能性があることを懸命に訴えている。
「密閉」「密集」「密接」の「三密」そのものの劇場が安全に再開できるまで相当の時間がかかるのは確実だ。しかし興行収入ゼロが続く間も、賃貸料や人件費など固定費がのしかかるのは演劇界も同様である。
そんな逆境にあるにもかかわらず、オンラインのコンサートや舞台映像の無料配信がますます盛んになっている。そこに行き着くまでにいろいろな議論もあったことだろう。それだけに、「非常時に置かれた人々の心の栄養になれば…」という作り手の思いが胸に響いて来る。今回は、日本を含めた海外の舞台の配信を中心に紹介したい。

Show Must Go On
英国人ミュージカル作曲家の大御所アンドリュー・ロイド・ウェバーのチャンネル。毎週金曜日の東部標準時間午後2時から48時間、氏のミュージカルを限定配信する。これまで「ジーザス・クライスト・スーパースター」等を配信。

ナショナル・シアター・アット・ホーム
芸術性の高い作品で知られるロンドンのナショナル・シアターも配信を開始した。通常、映画館等で有料上映する舞台映像を無料公開する。4月16日から23日までは子ども向け冒険小説「宝島」の舞台版、4月23日から30日まではシェイクスピアの「十二夜」。

歌舞伎
全日程中止となった公演を無観客で収録、YouTubeの松竹チャンネルで期間限定・無料配信する。
日本時間の4月13日から19日まではスーパー歌舞伎II「新版オグリ」、4月17日から26日までは歌舞伎座の「三月大歌舞伎」の昼の部、夜の部を全配信。

尾上菊之助が「平知盛」「いがみの権太」「忠信・源九郎狐」の三役をつとめる「義経千本桜」が4月30日まで無料配信。こちらは国立劇場で公演予定だった舞台。歌舞伎はいずれも全世界で視聴可能。

最後に、生の舞台のようにワクワクしたYouTube番組がこちら。
Some Good News with John Krasinski
公演中止で「ハミルトン」を観に行けなくなった9歳の女の子へのサプライズとして、同作のオリジナルキャストが勢揃いし、オープニング曲を歌う。一人ずつ次々に登場するライブ感が楽しい。女の子と一緒に驚きながら、元気を貰いました!(高橋友紀子)

Show Must Go On
■毎週金曜2pm(EST/米国東部標準時)から48時間
■(YouTube) https://bit.ly/3aW6byl

ナショナル・シアター・アット・ホーム
■4月16日(木)〜23日:(木)宝島
■4月23日(木)〜30日(木):十二夜
■(YouTube) https://bit.ly/2VgJSwP
松竹チャンネル:新版オグリ/三月大歌舞伎

■4月13日(月)〜19日(日):新版オグリ
■4月17日(金)〜26日(日):三月大歌舞伎
■(YouTube) https://bit.ly/2UVSLNs
義経千本桜
■4月30日まで
■(YouTube) https://bit.ly/2URP4s0
Some Good News with John Krasinski
■(YouTube) https://bit.ly/2yLriFw
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