2020年4月17日号 Vol.372

日本クラブ/ニューヨーク日本商工会議所/米国日本人医師会共催
4人の医師に聞く、COVID-19に関する緊急特別インタビュー

①新型コロナウイルス、風邪、インフルエンザ、アレルギーなど、それぞれの症状についての違い


日本クラブ(NC)、ニューヨーク日本商工会議所(JCCI)、米国日本人医師会(JMSA)が共催して4月13日(月)、日本クラブ会員限定イベント「ニューヨークの医師に聞く 〜COVID-19に関する緊急特別インタビュー」と題したウェビナー(ウェブセミナー)を開催した。コロナ感染拡大を防ぐ措置として自宅待機が続く中、同ウェビナー開催は日本クラブ初の試みとなった。

当日は、大石公彦医師(マウント・サイナイ病院)、安西弦医師(レノックスヒル病院医師、ニューヨークミッドタウン産婦人科院長)、加納麻紀医師(東京海上記念診療所)、カマール・ラマニ医師(一般内科・20 イーストメディカル院長)ら、現役で活動する4人の医師が参加し、それぞれの立場から解説。司会進行役は、3月上旬に就任した前田正明日本クラブ事務局長代行・JCCI専務理事代行が務めた。

冒頭は大石医師が、新型コロナウイルスについての解説や感染の仕組み、感染者の症状・状態などを図を用いて説明。中でも「新型コロナウイルスはどの程度の時間、安定(存在している)か」という図では、「空中エアロゾル」「銅板」「ボール紙」「ステンレス」「プラスチック」で、COVID-19とSARSの安定時間を比較。「比較的長い時間、新型コロナウイルスは安定している」とし、現時点では誰が感染しているか不明であるため、ソーシャル・ディスタンシングを守り、手をよく洗う必要があると注意を促した。

続いて安西医師が、ニューヨークの病院の現状とこれからの見通し、妊婦への影響、母子感染の有無、新生児への感染について説明。妊婦が感染した場合の対処法は、基本的に同様であること、高熱が続いたり呼吸困難ではない軽い症状の場合は、自宅待機が望ましいとした。また、産科の場合は、ほぼ検査できるようになってきており、突然の体調の変化や病状が悪化した際は、担当医に連絡・相談するのが一番だと話した。

次に加納医師が、子どもにおける新型コロナウイルスの感染率や症状、家に籠ることによるメンタル面について解説。
子ども(およそ18歳以下と定義)でも大人同様に感染し、熱、咳、呼吸困難はもとより、下痢、頭痛、喉の痛みなどが出る場合もあるが、大人に比べると比較的症状が軽いと説明。そのため、感染したことに気付かず、重症化するリスクが高い高齢者や糖尿病患者に感染させてしまう恐れがあると、注意を促した。また、子どもの中でも1歳以下や、慢性的な病気がある(喘息、先天性の心臓病、免疫が弱いなど)、白血病やキモセラピーなど抗がん剤治療をしている場合は病状が重くなるため、特に注意が必要であるとした。
家庭では、ビデオやテレビゲームばかりではなく、昔ながらのボードゲームやパズル、日本の祖父母に手紙を書くなど、アクティビティーを考えて欲しいと提案。さらに、コロナ感染ではなく、アトピが悪化した、突発性発疹、メンタルヘルスが心配など、子どもの具合が悪い場合はビデオビジット診察を利用して欲しいこと、2歳以下の健康診断、予防接種はできるだけ遅らせないで受けることがリコメンドされており、特に1歳以下の子どもは他の感染病にかからないために大切だと説明。まずは、かかりつけのドクターへ連絡し、コロナが流行っているが、オフィスとしてはどのような対策を取っているかを確認して欲しいと、アドバイスを与えた。

最後にラマニ医師が、症状や遠隔医療、メンタルヘルスについて説明。新型コロナウイルス、風邪、インフルエンザ、アレルギーなど、それぞれの症状についての違いを表=①=を用いてわかりやすく解説。緊急の場合(高熱が続く、咳、呼吸困難)に備えて近くのERをあらかじめ調べておくこと、まずはPCP(プライマリー・ケア・フィジシャン)とのビデオ診療、遠隔治療で相談することを推奨。COVID-19については通常の診察と同じように保険が適用され、保険会社によっては自己負担なしの場合もあると説明。予防として、マスクの着用、手荒い、消毒、手袋の着用をあげ、自らの免疫力を強くすることが大切(十分な睡眠、バランスのよい食事(栄養)、総合ビタミンをとる、運動する)であるとし、「簡単に運動ができるからと、今、アメリカで人気があるのは日本のラジオ体操です」と話した。
「もし、新型コロナウイルスではない場合は、どうしたら良いのか」という問いに対し、まずはPCPに相談すること、薬が必要な場合は一度に90日分まで受け取りが可能であり、配達を請け負う薬局もあるため、できるだけ外出を控え、感染リスクを減らすことが大切だと話した。

視聴者からの質疑応答で、「新型コロナウイルスの症状が出た場合、市販薬を服用しても良いか?」という問いに対し、ラマニ医師は「市販薬を服用することは可能。解熱剤の場合はイブプロフェンベース(アドビル)よりもアセトアミノフェンベース(タイレノール)の服用がお勧め。ただし、薬の効能が切れてから次の薬を服用すること。高熱が続いているからと数時間置きに服用すると、本当に熱が下がったのか、解熱剤で下がっているのかが分からなくなるため注意が必要」と回答。加納医師は「解熱剤はタイレノールのほうが安全だが、子どもの高熱にはイブプロフェンを使っても大丈夫」と補足した。

ウェビナーを締めくくるにあたり、前田氏から、今回、協力した4人の医師が理事を務めるJMSAについて説明。2006年から慈善団体として邦人コミュニテイ支援・救援活動に取り組んでいることを紹介し、同団体への寄付を案内した(別記)。

同ウェビナーの様子は下記YouTubeで公開している。

■ニューヨークの医師に聞く 〜COVID-19に関する緊急特別インタビュー
www.youtube.com/watch


■JMSA寄付先:Japanese Medical Society of America(JMSA)
100 Park Avenue, Suite 1600, New York, NY 10017
事務局長:加納良雄Tel: (914)433-3210
Email: yoshikano@verizon.net


①Check の場合: payable to: JMSA
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送付先:上記のJMSA メーリングアドレス宛て
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