2021年4月16日号 Vol.395

増えるアジア系へのヘイトクライム
領事館から被害回避のための注意点

ニューヨーク市が制作・配布する日本語ポスター

アジア系住民に対するヘイトクライムが全米規模で増加している。在ニューヨーク日本国総領事館は在留邦人向けに、犯罪被害に遭わないよう注意を呼びかけている。

アジア系へのヘイトクライムは今年に入り急激に注目度を高めていたが、3月29日午前11時40分頃、マンハッタン西43丁目で起きた事件で、市内のアジア系コミュニティーは大きな衝撃を受けた。歩行中のアジア人女性(65歳)が、反対方向から歩いてきた黒人男性に突然蹴り倒され、何度も頭部を踏みつけられるなど、激しい暴行を受けた事件。付近ビルのセキュリティーカメラに犯行が録画され、テレビニュースでも繰り返し放送、犯人はすでに逮捕された。さらに同日の早朝、ブルックリンからマンハッタンに向かう地下鉄車内でアジア系の男性が別の男性乗客から殴られ、首を絞められ意識を失う事件もあった。

ニューヨーク市警(NYPD)によると、ヘイトクライム特別捜査班は現在までに30件以上のアジア系住民が被害にあった事件を捜査しているという。





領事館からの注意点
NYPDは在ニューヨーク日本国総領事館に対し、アジア系住民が犯罪被害に遭わないための注意点とアドバイスを提示している。それによると、

▶︎外出時は可能な限り単独ではなく、複数で行動する。
▶︎コロナ禍の折、暴力事件等が発生しても感染への恐怖から周囲の支援が得られない可能性があることも念頭に置くこと。
▶︎地下鉄は可能な限り避け、バスの利用を推奨する(シティバイク等も有効な移動手段)。
▶︎地下鉄を利用する際は、ホーム中央付近に設置されているMTAサインボードなどの近くで待つようにする。そうすることで、線路への突き落とし事件の防止と、犯人から逃げる際の障壁としてサインボードを利用できる。
▶︎MTAサインボードが近くにない場合は、プラットホームの壁際や、MTA職員から見通せる場所で待つ。
▶︎駅構内に交番があるときは、警察官の所在を確認し、その近くで待つ。
▶︎可能な限り車掌が乗っている車両を選んで乗車する。ドアを叩くことで車内の異常を伝えることができ、車掌の通報で早期対処が見込まれる。
▶︎携帯電話の画面ばかり見ず、周囲に気を配ること。

その他、イヤホンなどで音楽を聴きながら歩くといったことは避けたほうが良いと注意を促している。

警察・消防・救急全て「911」
緊急時には「911」をダイヤルし(公衆電話ではコイン不要)、オペレーターに緊急事態の場所と内容(警察・消防・病院の別)を告げる。英語で説明できない時には「ジャパニーズ・プリーズ」と告げれば、日本語通訳サービスを介しての通話が可能。緊急時以外は、「911」ではなく管轄の警察署に直接連絡する。自分が住む管轄派出所の電話番号をあらかじめ調べておくと良い。

総領事館へ通報を
被害にあったら総領事館の「邦人援護担当官」にも連絡する。週末・休日も、緊急時用24時間対応可能な電話システム(日本語オペレーター対応)を導入している。

領事館による「ニューヨーク安全マニュアル」
領事館がホームページで公開している「ニューヨーク安全マニュアル」(別記)を参考に、各自安全対策について考えること。「事件や事故に巻き込まれたら」の項目には、緊急時の連絡先等が記載されている。



■警察・消防・救急: Tel: 911
■ハラスメントや差別の被害に遭った場合の連絡先:
 Tel:212-416-0197、または311
■その他の情報サイト・連絡先:
ニューヨーク市の「Stop Asian Hate」
オンライン被害報告サイト(Report Discrimination)
ニューヨーク市警(NYPD)ヘイトクライム等に関するサイト

領事館「ニューヨーク安全マニュアル」
●在ニューヨーク日本国総領事館
TEL: 212-371-8222(代表)
※弁護士、通訳に関する情報は、下記リンクから
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