2022年4月8日号 Vol.419

学校/工場建設でガーナを支援
長坂真護・個展
「Still A Black Star」

4月1日のオープニング・レセプションに出席した長坂氏、作品「Going to be plastics」の前で

ソーホーの「MAGOギャラリー・ニューヨーク」グランドオープニングを記念し、日本在住の作家・長坂真護による個展「Still A Black Star」が4月1日(金)から始まり、16日(土)まで開催されている。

長坂は、このギャラリー収益の一部で、ガーナ共和国に学校や工場を建設するプロジェクトに取り組んでいる。日本のバリュエンスグループと提携し、「MAGOギャラリー・グローバル」を運営。アートのサステイナビリティー・プロジェクトとして、香港、パリ、ニューヨークでギャラリー展開をする。

今回はニューヨークでのギャラリーオープニングとなり、「ガーナシリーズ」を含む自らの作品群を発表する。



長坂は1984年生まれ。2009年に経営していた会社が倒産し、路上の画家となるが、2017年ガーナに渡り、世界最大の電子機器の墓場と言われるスラム街・アグボグブロシーを訪れたことが、大きな転機となる。そこには、先進国が捨てた電子機器を燃やすことで生計を立てる人々がいた。住環境・労働環境は劣悪だった。

この時、長坂は、「先進国の豊かさは、スラム街の人々の犠牲のもとに成り立っている現実を、アートの力で伝える」と決意。「サスティナブル・キャピタリズム」を提唱し、廃棄物をアート作品として昇華させ、生産者側である先進国社会に還流。その収益によって、アグボグブロシーに学校や工場を建設する循環型アートプロジェクトを始動した。

これまでガスマスクをガーナに届け、2018年にはスラム街初の学校を設立。翌年にはアグボグブロシーへの5回目の訪問で、スラム街初の美術館を設立した。

この軌跡を、エミー賞受賞監督のカーン・コンウィザーが追い、制作したドキュメンタリー映画が「Still A Black Star」で、今回の個展のタイトルにもなっている。この映画は、ドキュメンタリー映画祭で数々の賞を受賞。今年はアメリカで公開予定だという。

長坂は、ニューズウィーク日本版の「世界に貢献する日本人30人」に選ばれるなど、今世界から注目を浴びる若手アーティストの一人だ。

■4月1日(金)〜16日(土)
■会場:MAGO Gallery New York
 568 Broadway #401 (4th Floor)
■入場無料
https://magogalleryglobal.com/new-york


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