2023年03月31日号 Vol.442

世界で最も偉大な都市の復活
ニューヨーカーの「行動」促す
「We ♥ NYC」キャンペーン

タイムズスクエアで展開された「We ♥ NYC」キャンペーン広告 (Photo by Darren McGee/Office of Governor Kathy Hochul)

ニューヨーク市は3月19日(日)、新しい市民キャンペーン「We ♥ NYC(ウィー・ラブ・ニューヨークシティ)」を発表した。ニューヨークは、隣人や困っている人々を助けるために行動する「Do-Ers(実行者)」が住む街であり、パンデミックを乗り越えたニューヨークを、市民が協力し合うことでさらに盛り上げていこうと提案する。

今後2年間に渡って行われる同キャンペーンのロゴ「We ♥ NYC」=表紙写真=は、地下鉄、バス、ビルボードなど市内全域で展開。制作したのは、デザイナーでアート・ディレクターのグラハム・クリフォードで、1977年にミルトン・グレイザーが制作した「I ♥ NY(アイ・ラブ・ニューヨーク)」にひねりを加えたものだ。


50年前のNY市は、製造業の雇用が海外に流出し、中流階級が郊外へ逃げたことなどから、財政破綻に直面していた。都市存続の危機の中、ニューヨーカーの「やればできる!」という楽観主義を再燃させ、ボランティアを動員。より清潔で、安全に生活・働くことができ、観光地としても最適な街として再建させた。

「We ♥ NYC」は、そんな70年代の21世紀版として誕生。現在、都市が直面している問題は、当時に比べて複雑化。テクノロジー革命によってリモートワークが可能になった一方、年齢によるスキルのギャップが拡大。さらに、公共の安全性が脅かされ、精神的な問題を抱えた人々、ホームレス、差別問題など、克服すべき課題は山積している。

①タイムズスクエアで行われた「We ♥ NYC」キャンペーン記念式典に参加したホークルNY州知事(中央左)とアダムスNY市長(中央右) (Photo by Darren McGee/Office of Governor Kathy Hochul)

タイムズスクエアで行われた20日(月)の記念式典=写真①=には、キャシー・ホークルNY州知事とエリック・アダムスNY市長が参加。州と市がタッグを組んだことを強調する。

「We ♥ NYCは単なるスローガンでも、単なるロゴでもありません。これは『スピリット(精神)』です」と、ホークルNY州知事。

アダムスNY市長は、「新しいロゴには、『I(私)』だけではなく、『We(私たち』全員が取り組んでいる、ということを皆に伝える意図がある」と説明。「私たち」は力をあわせ、さまざまな問題に取り組み解決していくことで、ニューヨークが「世界で最も偉大な都市」であることを再び証明できると訴える。

市内全域で展開する「We ♥ NYC」広告

キャンペーンの第一弾として、市内5区の清掃、地球の環境保護について考える「アースデー」のイベント、地下鉄構内で活動するパフォーマーのコンテストなどを企画。さらに、市民一人ひとりがボランティア活動や、復興に繋がる行動を起こすよう呼びかけている。

「We ♥ NYC」や「NYCサービス(NYC Service)」のウェブサイトでは、さまざまなボランティア活動を案内。プログラムを通してニューヨーカーを「団結」させ、公平で包括的な都市を目指している。

WE ♥ NYC
https://www.welovenyc.nyc
■info@welovenyc.nyc

NYC Service
https://www.nycservice.org


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