2018年3月30日号 Vol.322

ディズニー・アニメヒット作
ミュージカルで登場
「アナと雪の女王」


Caissie Levy as Elsa in Frozen. All Photos by Deen van Meer.


Patti Murin as Anna in Frozen


ディズニー・ファンやミュージカル好きならずとも、イディーナ・メンゼルが歌う「Let It Go~」のフレーズは誰もが一度は耳にしたことがあるはず。筆者もアニメ公開時、テレビからスポットCMでイディーナの歌声が聞こえてきて、パソコンの手を止めて見入ってしまった経験を思い出しました。
そのアニメが舞台になり3月22日、華々しく開幕を迎えたのです。
一度は見るべきオススメ・ポイントは数多くありますが、一番わかりやすいのは、15年前に「ウィキッド」を初めて見たときの興奮が再び蘇ったと言うのがわかりやすいでしょうか。1幕ラストが、例の「Let It Go~」なのです。この一曲を聞いただけで、もうチケット代のもとを取った感覚。インターミッションに入るや、隣のまったく知らない客と「すごいね!」と大騒ぎしてしまいました。
ストーリーは、アニメのときのまんま。
アレンデール王国の王女として生まれた姉妹のエルサとアナ。エルサはいつも部屋に閉じこもり、妹アナにも心を閉じ、静かな生活を送っています。「雪の女王」エルサは、物を凍らせる不思議な力を持っていました。
一方、アナは好奇心旺盛で人懐っこい性格。子供のときはあんなに仲が良かったのに、自分を受け入れてくれないエルサに不満を抱いています。実はエルサは、アナが子供のころ、誤って凍らせてしまったことがトラウマになり、妹を避けていたのです。
ある日、海難事故で両親の国王夫妻が死亡。エルサが女王に即位することになります。久しぶりに外界と触れたアナは、偶然出会ったハンスと恋に落ち、エルサに結婚すると伝えます。エルサは妹の告白に大反対、激しく対立します。感情をコントロールできなくなったエルサは、ついに封印していた「力」を使ってしまうのです。
国民はたちまちエルサを怪物扱い。戴冠式は騒然となります。その場を逃げ出し、自由に生きていく決心をするエルサ。そこで大いに歌い上げられるのが、「レディ・ゴー~」です。
盛り上がるのはここから。アナはためらうことなく、姉を探しに出かけます。姉妹の真実の愛の旅が始まるのです。
舞台だけの最大の「特典」は、オリジナルのアニメの楽曲でオスカーとグラミーをW受賞したロバート&クリスティン・ロペス夫妻の本気度を確認できること。彼らがブロードウェイのために用意した曲は、オリジナル・アニメのなんと2倍。アニメまるまる1本分相当の新曲が聞けてしまうというわけです。エルサが歌う新曲「デンジャラス・トゥ・ドリーム」がどこに出てくるのか、あなたも探してみてください。
雪だるまのオラフはこう具現化したのかとか、トナカイのスヴェンは実にディズニーっぽいな、とか、キャラクターが出てくるたびに、感心しきり。2幕目冒頭のサウナで盛り上がるシーンは、舞台だけのオリジナルシーン。ディズニーが子どもにも見せていい「裸」をどう表現しているのかも注目です。
エルサ役のケイシー・レヴィーとアナ役のパティ・ミュリンはプライベートでも大変仲良しのようで、終演後、ステージドアの前でサインを待つ観客の前に、他のどの出演者よりも早く、ピンクとブルーの色違いのマフラーをして2人揃って登場。車道にまであふれ返るファン全員にサインをするサービス精神を見せていました。
舞台が終わってからも、つい曲を口ずさみ、噂話をしたくなる新ミュージカルの誕生です。(佐藤博之)

Frozen
■会場:St. James Theatre
  246 W. 44th St.   
■$99〜
■上演時間2時間15分
frozenthemusical.com


HOME