2018年3月30日号 Vol.322

ダブルダッチで夢叶えた日本人
夢を与える側へ
シルク・ドゥ・ソレイユ「ボルタ」(前編)


(左から)谷澤 潤、見島 良拓、橋本 昌和、屋比久 嗣孝、屋比久 友子 Photo Courtesy Cirque Du Soleil [VOLTA]




All Photo by BenoitZ.Leroux, Costumes by Zaldy


エンターテイメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」(以下シルク)の巡回公演「ボルタ」が、ニュージャージーとニューヨークで上演される。会場は特製のビッグトップ(テント)だ。

「ボルタ」には、数人の日本人パフォーマーと、スタッフが参加。谷澤潤(たにざわ・じゅん)、見島良拓(みしま・りょうた)、橋本昌和(はしもと・まさかず)、屋比久嗣孝(やびく・つぐたか)、屋比久友子(やびく・ともこ)の5人は、2本の縄跳びを使用する「ダブルダッチ」で、吉田尚生(よしだ・なお)は、競技用自転車「BMX」でパフォーマンスを披露。またシルクに欠かせない衣装担当にウエダイラ・ヒデヨが名を連ねている。よみタイムでは「ボルタ・前編」として、まずは「ダブルダッチ」のメンバー5人を紹介したい。(敬称略)


▼谷澤潤
大阪府出身の谷澤は、ダブルダッチ歴15年、シルク歴1年5ヵ月。「高校の文化祭で、クラスの出し物としてダブルダッチをやりました。それが楽しくて、文化祭後も遊びで続けるうちに、どんどんその魅力に惹かれていきました」。
シルクには、ダブルダッチのプロチームとマネージャーからの推薦で入団。「シルクに入った当初は、本社でトレーニングをしていたのですが、社員全員に『夢を与える』ことを目的とした社風に驚きました。シルクはパフォーマーだけでなく、スタッフ全員が夢を持って仕事をしていると感じます。今は、自分が『夢を与える側なんだ』と思いながら、パフォーマンスをしています」。

▼見島良拓
京都市出身の見島は、ダブルダッチ歴12年、シルク歴2年。10歳から18歳まで長距離走を専門としていたが、思うような記録が残せず、大学でダブルダッチに転向。「最初はステージに立って目立てそうだな、かっこいいな、という軽い気持ちでした(笑)。ですが、やり始めると難しさと奥深さに気が付き、どんどんのめり込んでいきました」。大きな大会で入賞したことで、ダブルダッチから抜けられなくなり、関西でプロのダブルダッチ・チームに所属した。
「ボルタ」では、ダブルダッチのアクトを増やしたいというシルクの要望から招集。「シルクに出演することは、僕の夢でした。初めてステージに立ち、夢が叶った瞬間の感動は忘れられません。僕にチャンスをくれ、サポートしてくれる日本の皆さんには本当に感謝しています」

▼橋本昌和
沖縄県出身の橋本は、ダブルダッチ歴16年、シルク歴3年。「大学でダブルダッチを初めてみた瞬間に一目惚れ。私もこんなカッコよく跳びたい! と強く思いました」。
シルク入団は東京で行われたオーディションがきっかけだった。「シルクは、人間離れした世界のトップパフォーマンス集団だと思っていたので、まさか入団できるとは考えもしなかった世界です。でも、シルクに入ってから、自分のやりたいことを追求していけば、やれないことは無いんだな、と感じています。今は、もっとこのショーを良くしていきたい!と強く思っています」

▼屋比久嗣孝
沖縄・石垣島出身の屋比久は、ダブルダッチ歴16年、シルク歴7年。「石垣島のダンスの先輩がダブルダッチを東京でやっていて、真似して始めたのがキッカケです。続けたいと思うより前にハマってしまい、気が付くとそのまま続けていました」。
シルク入団は、やはりオーディションがきっかけ。「シルクには世界中からパフォーマーが集まっていて、日本人が立てるような舞台ではないのかなぁと考えていました。入団してみると、裏方さんも含めて、みんな楽しんで仕事をしているんだな、とよく思います」。

▼屋比久友子
東京都出身の屋比久は、ダブルダッチ歴8年、シルク歴2年。「12年間やっていた新体操を生かした新しいスポーツをやりたいと思い、大学生の時にダブルダッチを始めました。ダブルダッチは見てもやっても面白いので、世界中に広めたいと思っています」。
シルク入団は、「ボルタ」のキャスティングに女性ダッチャーを加えるという話があり、オーディションを受けた。「人間離れしたパフォーマンス集団で、観る人にドキドキ感と感動を与えてくれる。ミスは許されない厳しい世界だと思っています。それと同時にシルクは、とてもアーティストを尊重し、大事にしてくれるカンパニーです。常に支えてくれる周りのスタッフさんがいて自分たちがいる、という感謝の心を持って、夢と希望を届けられるようなパフォーマーになりたい」。

最後に、読者へのメッセージを紹介したい。「夢を持って世界に飛び出した人たちと刺激し合えたら嬉しいです(谷澤)」「ボルタのサブタイトルFind Your Free。ショーを観にきて下さった皆さんが何かを感じ、皆さん自身の生活や考え方の良いスパイスになれると信じています(見島)」「迫力ある力強いショーになっています。縄を通しての『会話』、チームワークに注目して欲しいです(橋本)」「光るロープで早く跳ぶ演出はボルタだけ。いろんな角度からショーを楽しめますので、ぜひ足を運んでください(屋比久)」「一瞬たりとも気が抜けない舞台で、5人の魅力を感じてください(屋比久友子)」

ダブルダッチは個人競技とは異なり、チームワークが重要なパフォーマンスだ。夢を叶えた5人の日本人ダッチャーたちは、シルクの精神そのままに、観客へ夢を与える存在となった。

Cirque Du Soleil [VOLTA]
■4月中旬*〜5月6日(日) *上演スケジュールは
 オフィシャルサイトで確認を(3/26現在)
■会場:Meadowlands Racing & Entertainment
 1 Racetrack Dr, East Rutherford, NJ
■5月17日(木)〜6月10日(日)
■会場:The Nassau Veterans Memorial Coliseum
 1255 Hempstead Turnpike Uniondale, NY
■$55〜
www.cirquedusoleil.com/en/volta


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