2019年3月29日号 Vol.346

3人のベテランピアニスト
ロマン派中心のプログラム
4月のカーネギーホール

ブロンフマン
イェフィム・ブロンフマン Yefim Bronfman (Photo © Dario Acosta)

マウリツィオ・ポリーニ
マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini (Photo © Steve J. Sherman)

内田光子
内田光子 Mitsuko Uchida (Photo © Geoffroy Schied)


例年、春のカーネギーホールには多くのスターピアニストがやってきて公演を行う。今回は、4月にソロリサイタルを行う3人のベテランピアニストについて紹介したい。奇しくも、3アーティストともロマン派音楽中心のプログラムだ。

4日(木)は、イェフィム・ブロンフマンが登場。旧ウズベク・ソビエト社会主義共和国(現在のウズベキスタン共和国)のタシケントに生まれ、15歳でイスラエルに移住、31歳でアメリカ国籍を所得。イスラエルのテルアビブ大学、アメリカのカーティス音楽院やジュリアード音楽院などで研鑽した。カーネギーホール・デビューは1989年。以来、国際的な活躍を続けている。強靭な打鍵が特徴で、ベートーベンやシューベルトなどのスタンダード、そしてラフマニノフ、プロコフィエフ、ショスタコーヴィッチなどのロシア楽曲を得意とする。
このリサイタルではドビュッシーの「ベルガマスク組曲」、シューマンの「フモレスケ」、シューベルトのソナタ第19番ハ長調D・958を演奏する。

7日(日)は、技巧派として知られてきたマウリツィオ・ポリーニが、ロマン派楽曲のみのプログラムを披露する。イタリアのミラノ出身。15歳でジュネーブ国際コンクール第2位、18歳で、第6回ショパン国際ピアノコンクールに審査委員全員一致で優勝。審査委員長だった巨匠アルトゥール・ルービンシュタインが、「この審査員の中で彼より上手く弾ける者がいるだろうか。」と呟いたという逸話は有名。以来、レコーディングではショパンの「練習曲集」やブーレーズのソナタ第2番など数々の名盤を生み出し、演奏活動では膨大な数のソロリサイタル、そしてほぼ全ての一流指揮者・世界的オーケストラとのコンサートを重ねてきている。レパートリーはバッハから現代音楽まで実に幅広い。
今回のプログラムはブラームスの「3つの間奏曲」作品117、シューマンのソナタ第3番へ短調、そしてショパンのノクターン作品62、ポロネーズ嬰へ短調作品44、子守唄作品57、スケルツォ第3番嬰ハ短調。

30日(火)は、日本出身の内田光子の出番。1972年に拠点をロンドンに移し、現在所持する国籍は英国。いわゆる「ウィーン楽派」やその周辺の作曲家=モーツァルト、シューベルト、ベートーベンなど=の演奏を得意とし、その独特かつ説得力のある音楽創りが、世界中の批評家から常に高く評価されてきた。現在はシェーンベルク、ウェーベルン、ブーレーズなどの「モダン」レパートリーも積極的に演奏している。
今回は「シューベルト・ソナタプログラム」。第7番変ホ長調D・568、第14番イ短調D・784、第20番イ長調D・959と、シューベルト初期から一つ、後期から二つの、計三つのソナタを用意した。自身のキャリアを通じてシューベルトの作品を「常に愛してきた」という内田。この演奏会は必聴。(木川貴幸)

Yefim Bronfman
■4月4日(木)8:00pm
■$16.50〜


Maurizio Pollini
■4月7日(日)2:00pm
■$25.00〜


Mitsuko Uchida
■4月30日(火)8:00pm
■$25.00〜


■会場:Carnegie Hall
 Stern Auditorium /
 Perelman Stage
 881 Seventh Ave.
■212-247-7800
www.carnegiehall.org


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