2019年3月29日号 Vol.346

世界29ヵ国から35本
「サンダンス」受賞作、早くも上映
「ニュー・ディレクターズ/ニュー・フィルムズ」

クレメンシー
Clemency, 2019. Directed by Chinonye Chokwu. Courtsey of Sundance Institute, photo by Eric Branco

シェア
Share, 2019. Directed by Pippa Bianco Courtsey of Sundance Institute, photo by Eric Branco

チェンバーメイド
The Chambermaid, 2018. Mexico. Directed by Lila Avilés


今年48回目を迎える「ニュー・ディレクターズ/ニュー・フィルムズ」が3月27日(水)から4月7日(日)まで、近代美術館(MoMA)とフィルム・ソサエティー・リンカーンセンターの共催で開催される。毎年、世界中からレアで質の高い新作を集めて上映。今回は世界29ヵ国から選ばれた長編24本、短編11本を上映する。

オープニングナイトは、チノエ・チュク監督の「クレメンシー(Clemency)」。
何年もの間、死刑囚の処刑を執り行ってきた刑務所長のバーナディンは、その死者の数に苦しんでいた。仕事に対する誇りと、死刑に対する道徳的な悩みが、次第にバーナディンの心を変化させていく。
投獄や死刑制度だけでなく、人間的な依存・協調関係について問いかける人間ドラマ。
この作は、今年の「サンダンス映画祭」USドラマ・コンペティション部門でグランプリを獲得。チュク監督は、同映画祭で大賞を獲得した初の黒人女性となった。
27日午後7時上映時と28日は、チュク監督が来場、質疑応答が予定されている。

センターピースは、アレハンドロ・ランデス監督の「モノス(Monos)」=表紙写真上=。
10代の武装した子どもたち8人が、「組織(The Organi zation)」という名の下、ひと気のない山頂で活動。文明から離れトレーニングをしながら、乳牛の世話や誘拐したアメリカ人エンジニアを見張るなどして、日々を過ごしていた。そんなある日、襲撃を受けた彼らはサバイバルを余儀なくされ…。
美しい大自然と人間の狂気が織りなす異色のサスペンス。
同作は、今年の「サンダンス映画祭」で特別審査員賞を受賞した。
30日と31日は、ランデス監督が来場、質疑応答が予定されている。

クロージングナイトは、ピッパ・ビアンコ監督の「シェア(Share)」。
パーティーで起きたある夜の出来事を、携帯電話のビデオで撮られた16歳のマンディ。映像は、意識朦朧とするマンディが地下室の床に横たわり、少年が下着を下ろすと群衆が彼女の周囲に集まり…という場面で終っていた。だが、彼女には全く記憶がなく、何が起き、何が起こらなかったのかが分からなかった。
デジタル時代を生きる全てのティーンエイジャーに起こりえる悪夢をテーマに、性的暴力と現代アメリカ社会の不安定さを浮き彫りにした問題作。
今年の「サンダンス映画祭」で脚本賞と審査員特別賞(ブレイクスルー・パフォーマンス)を受賞した。
6日午後6時上映時と7日は、ビアンコ監督が来場、質疑応答が予定されている。

メキシコからリラ・アヴィレス監督の「チェンバーメイド(The Chambermaid)」=表紙写真下=。
メキシコシティの高級ホテルで客室係として働く24歳のエベ。一人息子のルーベンとも滅多に会えず、不満を抱えたまま淡々と仕事をする彼女の孤独と希望とは…。
喜び、悲しみ、諦め、願いなど、平凡な日常の中にある「人生の側面」を温かく描いたドラマ。
2回の上映時にはアヴィラス監督が来場、質疑応答が予定されている。

全スケジュール詳細は、オフィシャルサイトで確認を。

New Directors/New Films
■3月27日(水)〜4月7日(日)
■会場:Walter Reade Theater
 165 W. 65th St.
■会場:MoMA 11 W. 53 St.
■一般$17、学生/62歳以上/メンバー$12
www.newdirectors.org

Clemency
3/27(7pm・7:30pm)、3/28(6pm)
Monos
3/30(6pm)、3/31(6pm)
Share
4/6(6pm・8:30pm)、4/7(6pm)
The Chambermaid
3/29(8:45pm)、3/31(12:30pm)


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