2022年3月25日号 Vol.418

より良い世界を呼びかける
「自由の色」壁画プロジェクト
エドゥアルド・コブラ

①「ガンジーとマザー・テレサ」All photos by KC of Yomitime

スターウォーズのキャラクターC3POが掲げるのは、一時停止の道路標識とスターウォーズのロゴを融合させた反戦メッセージ=表紙写真=。「C3POストップ・ウォーズ(C3PO Stop Wars)」と題されたミューラル(壁画)は、ブラジルのサンパウロを拠点に活動するアーティスト、エドゥアルド・コブラが、世界各地で展開するプロジェクト「自由の色(Colors of Liberty)」の一作だ。

2018年、コブラはおよそ5ヵ月間でニューヨーク市内に18の壁画を描き、今でもそのほとんどを観ることができる。移民や環境問題、不正や暴力への抗議などに目を向け、より良い世界を目指そうと、人々に呼びかける。



2人の偉大な人道主義者に敬意を示した「ガンジーとマザー・テレサ」=写真①=、交通量緩和のため自転車専用車線の設置について考えさせる「自転車に乗るアインシュタイン(Einstein on a Bicycle)」=写真②=、カスケード高校に隣接した駐車場横の壁に描かれた「ストップ・ガン(Stop Guns)」=写真③=は、銃を手にした少年がスマホで自撮りする構図で、銃規制のメッセージを伝えている。

②「自転車に乗るアインシュタイン」

1987年、12歳でキャリアをスタートさせたコブラ。キース・ヘリング、バンクシー、エリック・グローエ、ディエゴ・リベラなどから影響を受け、これまでに世界各地で3000以上の壁画を描いた。2016年、リオデジャネイロ・オリンピックでコブラと彼のチームが大通りに描いた「エトニアス(Etnias)」は、ギネスが「世界最大のスプレー・ペイント壁画」と認定。2017年、故郷サンパウロに描いた「カカオ(Cacau)」は、その記録を塗り替え、現在、世界最大とされている。

視覚だけでなく、建築や都市空間、文化や思想的な背景なども加味し、制作するコブラ。美術館やギャラリーのような閉ざされた場所ではなく、誰でも無料で観覧できるアート、人々が彼(作品)と気軽に交流できる空間や時を生み出すことを目指している。

③「ストップ・ガン」

文中で紹介した壁画の場所
・表紙写真:C3PO Stop Wars:391 West St.
①Gandhi and Mother Teresa:130 10th Ave.
②Einstein on a Bicycle:155 E. 48th St.
③Stop Guns:231 Eldridge St.


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