2020年3月20日号 Vol.370

彫刻家・野田正明
故郷福山市にモニュメント設置
ギリシャとの連携に期待


作品の前で枝広市長(左)と野田氏


ニューヨークと日本を拠点にする彫刻家・野田正明が、故郷・福山市からの依頼で13個目の公共モニュメント「栄光」(高さ5メートル75センチ)を制作。その除幕式が3月1日、「公益財団法人福山市体育協会創立百周年記念事業」として、同市新総合体育館で行われた。
コロナウイルスの脅威が広がる中での開催だったが、200人以上の参加があり、準備したパンフレットが足りないほどだったという。作品が披露されると、観客から「オー」と歓声が上がった。
野田は、「体育館の象徴として、建築、景色とのマッチングがとても良くできたと思っています」と話している。
発案から制作完成まで3年かかったというこの作品。体育館という場所にふさわしく、躍動感に満ちた作品だ。「見る角度で形状が異なるので、除幕式に参加した人々が、それぞれ思い思いの感想を語り合っているのが印象的でした」と野田。
全13作品を結び「野田アートゾーン」を形成し、再度福山市とともに世界に向かって発信したいというのが野田の構想だ。福山市の枝広直幹市長とも、その方向で対話を続けている。
まず野田は、スポーツというつながりで、ギリシャのマラソン市にある「ヘルメスの精神」と、今回の福山市「栄光」を、姉妹彫刻として結びたいと考えている。
野田はギリシャとは親交が深い。小泉八雲を象徴する野田のステンレス彫刻「ラフカディオ・ハーンの開かれた精神」(高さ4メートル)が、アテネの大学に永久設置されているほか、マラソン市長から依頼を受け、 ギリシャ国家記念日マラソンの闘い2500周年で、マラソンスタジアムにステンレス彫刻「ヘルメスの精神」(高さ5メートル)を設置している。アテネマラソンでの、スタート地点のシンボルとなっている。
「マラソン市長は乗り気です。福山がどう動くかが今後の鍵となります」と野田は今後の展開を楽しみにしている。


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