2020年3月20日号 Vol.370

エベーヌ四重奏団
ベートーベン全曲演奏会
4月のカーネギーホール



Quaturo Ébène, Photos by Julien Mignot


(カーネギーホールは、5月10日までの全イベントをキャンセルすると発表しました。同期間のチケットをクレジットカードで購入された方は自動的に返金されます。またBOXオフィスで現金でご購入の方は、6月30日までにチケットのスキャン画像と氏名、住所、電話番号を添えてfeedback@carnegiehall.orgへ連絡するようアナウンスしています。詳細はカーネギーホールへお問い合わせください。=3月19日・編集部)

音楽シーズンも大詰めとなってくる4月。例年この時期のカーネギーでは、実力ナンバーワンクラスのソロアーティストたちが魅力的なコンサートを行う。
今回は2月21日号に続き「ベートーベン・セレブレーション」シリーズでの最も注目すべきコンサート、エベーヌ四重奏団が6回にわたって行う「ベートーベンの弦楽四重奏曲全曲演奏会」を紹介したい。

波瀾万丈の人生を送ったベートーベンが、作曲家としての生涯全ての時期にわたって書き続けたのが、9つの交響曲、32曲のピアノソナタ、そして16曲の弦楽四重奏曲。なかでも弦楽四重奏曲群には、精気に満ちあふれた初期、英雄的で輝かしい中期、そして深淵で宗教的とさえ言える後期へと、ベートーベンの芸術性が年月の経過とともに深化していった過程が最も純然な形で現れている。
これらを演奏するエベーヌ四重奏団は、1999年にフランス、ブローニュ=ビヤンクール地方音楽院在学中の4人によって結成された弦楽四重奏団。今回はベートーベン・オンリーのコンサートだが、古典派音楽、現代音楽、そしてジャズまで演奏している。2019年4月から2020年1月にかけて、世界中の主要都市でベートーベン弦楽四重奏曲全曲を演奏するという「ベートーベン・アラウンド・ザ・ワールド」と銘打った世界ツアーを敢行し、そのライブ録音のアルバムリリースを4月3日に行う予定。さらにツアーのドキュメンタリー映画の企画も進行しているとのこと。まさに、現在でもっともベートーベン弦楽四重奏曲に集中しているストリング・カルテットだ。

では日程とプログラムを。
17日(金)は、第3番2長調作品18ー3、第11番へ短調作品95「セリオーソ」、第8番ホ短調作品59ー2「ラズモフスキー第2番」。
18日(土)は、第6番変ロ長調作品18ー6、第15番イ短調作品132。
19日(日)は、第2番ト長調作品18ー2、第16番へ長調作品135、第14番嬰ハ短調作品131。
30日(木)は第1番へ長調作品18ー1、第10番変ホ長調作品74「ハープ」、第9番ハ長調作品59ー3「ラズモフスキー第3番」。
5月1日(金)は、第4番ハ短調作品18ー4、第5番イ長調作品18ー5、第12番変ホ長調作品127。
最終日の5月2日(土)は第7番へ長調作品59ー1「ラズモフスキー第1番」、第13番変ロ長調作品130「大フーガ」。

ゲーテが「4人の知的な人間の交わす対話」と称した弦楽四重奏曲。その音楽形態の可能性を徹底して追求し、おそらく窮極のあり方というべき境地にまで高めたベートーベン。この4月、絶対必聴コンサート。(木川貴幸)

Quatuor Ébène: Beethoven String Quartets
■4月17日(金)7:30pm
■4月18日(土)7:30pm
■4月19日(日)3pm
■4月30日(木)7:30pm
■5月1日(金)7:30pm
■5月2日(土)7:30pm
■会場:Zankel Hall at Carnegie Hall
 881 Seventh Ave
■212-247-7800
■$54〜
www.carnegiehall.org

※新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、カーネギーホールは3月13日から3月31日までの全イベントをキャンセルしました。4月1日以降のイベントについては日程通りに開催される予定です。最新情報はカーネギーホールへお問い合わせください。(3月13日現在・編集部)


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