2019年3月15日号 Vol.345

AMNH創設150周年記念
知られざるT.レックス
「T.レックス:究極のプレデター」

T.レックス
①羽毛に覆われた赤ちゃんT.レックスは、捕食される弱い存在だった Photo by YOMITIME

T.レックス
②最新の研究から復元されたT.レックス T. rex model, Photo © AMNH/D. Finnin

T.レックス
③同館初となるバーチャルリアリティー(VR)© AMNH/D. Finnin

T.レックス
④T・レックスが来場者の動きに反応するウォール・プロジェクション Photo by YOMITIME


アメリカ自然史博物館(AMNH)で3月11日(月)から「T・レックス:究極のプレデター」展が始まった。今年創立150周年を迎えたAMNHの記念展。

ティラノサウルスの中で最も有名なのは、やはりT・レックス(ティラノサウルス・レックス)だろう。6800〜6600万年前、北米に生息していたT・レックスは体長約13メートル、一般的には「食物連鎖の頂点に君臨する巨大で凶暴な肉食恐竜」という印象だ。ところが、ティラノサウルスの初期族とされるプロケラトサウルス(167万年前)は、体長3メートル以下と小さく、素早かった。
会場では、T・レックスが孵化から生長するまで、多種のティラノサウルス等身大モデルなどを含め、5セクションに分けて展示。

入口では、羽毛が生えた小さなT・レックス=写真①=が来場者を出迎える。薄暗い空間に佇む赤ちゃんT・レックスは痩せた七面鳥のようで、凶暴な「殺戮マシーン」のイメージとはほど遠く、弱々しい。事実、半数以上の子どもは捕食されるか、事故や病気、または餌を見つけることができずに1歳未満で死んだという。そんな赤ちゃんの背後に大人のT・レックスの陰が投影、ズシン、ズシンという足音が不気味に響く。

幼少期を生き延びたT・レックスは、年間1700ポンド(約772キロ)という勢いで、9トンのプレデターへと生長する。最新の研究では、大人の頭と尾には羽毛が生えていた=写真②=と考えられている。フルサイズに達するのは20代前半とされ、28歳以上の個体は発見(発掘)されていない。

大人のT・レックスは、常に片方の足が地面に接している必要があるため、技術的に「走る」ことが出来なかった。とは言うものの、その「一歩」が大きいため、最高速度は時速10から25マイルであったと推察。若くて軽い個体は、もっと速く移動できたそうだ。

科学者たちの努力により多くが解明されてきたが、まだまだ謎も多いT・レックス。同館コレクションからの化石や骨格の複製、最新情報と最先端技術に基づいた復元、T・レックスが来場者の動きに反応するウォール・プロジェクション=写真④=、同館初となるバーチャルリアリティー(VR)=写真③=など、その生物と行動について科学的に、楽しみながら考察する。

T. rex: The Ultimate Predator
■2020年8月9日(日)まで
■会場:American Museum of Natural History
 Central Park West at 79th St.
■General Admission + One:
 大人$28、2-12歳$16.50、学生/シニア$22.50
amnh.org
#AMNH150


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