2022年3月11日号 Vol.417

沖縄返還50周年記念公演
「時を超えた波音ー沖縄の伝統舞踊と音楽」
ジャパン・ソサエティで

Photo by Yohei Oshiro

1972年の米国から日本への沖縄返還から、今年は50周年に当たる。その記念公演として、「時を超えた波音−沖縄の伝統舞踊と音楽」が、3月18日(金)・19日(土)、ジャパン・ソサエティー(JS)で上演される。

公演前半は、琉球王国(1429〜1879年)後期から300年に渡り継承されてきた宮廷の歌舞伎「組踊(くみおどり)」から定番演目を抜粋して披露する。

後半は、明治以降に生まれた民衆の「雑踊(ぞうおどり)」や、創作舞踊からなる演目を、国立劇場おきなわ芸術監督の嘉数(かかず)道彦氏監修・構成のもと、ライブ演奏を行う。

「組踊」は、首里王府が中国皇帝の使者である冊封使を歓待するため、踊奉行だった玉城朝薫(たまぐすく・ちょうくん)(1684〜1734年)が創作したもの。初演は1929年。舞踊、音楽、台詞、所作によって構成される。

1972年に沖縄が日本に返還されると同時に、「組踊」は日本の優れた芸能の一つとして、能、歌舞伎、文楽などと同様に、国の重要無形文化財に指定されている。2010年には、ユネスコの無形文化遺産保護条約に基づく「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」にも記載された。



1879年の廃藩置県で、琉球は沖縄県となり、「組踊」や古典舞踊の担い手だった士族と、その子弟は職を失うが、やがて庶民に流布する民謡や風俗を取り入れた、新しいスタイルの舞踊を作り出していく。それが後半で紹介する「雑踊」だ。

拡張高い古典舞踊に替えて、振りの様式や構成、衣装などに民衆のエネルギーが注ぎ込まれ、アップテンポの庶民芸能として定着していった。さらに、戦後になって創られた舞踊は「創作舞踊」と称され、優れた作品が生まれている。

前半の「組踊」では、まず女踊「坂本節」と二才踊「高平良万歳(たかでーら・まんざい)」ほか。後半は、「雑踊」の「浜千鳥」「鳩間節」ほか、「創作舞踊」の「武の舞」。フィナーレは、この公演のために嘉数道彦氏が創作・演出した構成舞踊「村栄え」を、出演者全員で演じる。

同公演の舞踊家、演奏家、また演目は全て、嘉数氏が選出。主演者は全員、沖縄県立芸術大学出身。沖縄返還から50年の時を経て、なお継承される沖縄の伝統芸能を、アメリカの観客に体験してもらうことが目的だ。

JSでの公演は、米5都市ツアーの一環。他にワシントンDC、シカゴ、サウスカロライナ州グリーンビル、ペンシルベニア州イーストンで上演する。

当日、公演開始1時間前に、沖縄の芸能や文化、歴史に関するパフォーマンスやレクチャーを実施。3月19日(土)は大人向け、20日(日)は家族向けの沖縄舞踊ワークショップも開催される。

■3月18日(金)・19日(土)7:30pm
※終演後:レセプション(18日)
※質疑応答(19日)
■会場:Japan Society:
 333 E. 47th St.
■一般$42、JS会員$32
www.japansociety.org

★関連イベント日程
●大人向け・沖縄舞踊ワークショップ
■3月19日(土)11:00am〜1:00pm
■一般$50、JS会員$40
※動きやすい服装・靴で参加のこと

●家族向け・沖縄舞踊ワークショップ
■3月20日(日)10:00am〜11:45am
■シングルチケット:一般$15、JS会員$12、
■ファミリーチケット:一般$40、JS会員#32(5歳以上は保護者同伴)


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