2022年3月11日号 Vol.417

ウクライナ系ニューヨーク市民15万
「#ウクライナとともに」#StandWithUkraine
リトル・ウクライナから広がる支援

ウクライナとの連帯を示すため、ウクライナ国旗色にライトアップされたグランド・セントラル駅の高架橋 (Kevin P. Coughlin / Office of Governor Kathy Hochul)

2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が開始された直後、ニューヨークを含む世界各地で抗議の声が上がった。

ホークルNY州知事の発表によれば、ニューヨーク州に住むウクライナ系住民はアメリカ国内でも最大で、ほとんどがニューヨーク市に居住、その数およそ15万人。ウクライナ系住民やビジネスが集中している場所として、マンハッタンのイースト・ビレッジにある「リトル・ウクライナ(Little Ukraine)」と、ブルックリン南部の「リトル・オデッサ(Little Odessa)」が知られている。



「リトル・ウクライナ」(2番街の9丁目から6丁目界隈)には、ウクライナ博物館や教会、ウクライナ料理を提供するレストランなどが営業。「ウクライナとともに」「ウクライナを支援する」という意味のハッシュダグ「#StandWithUkraine」を掲げ、さまざま活動を展開。ここではその一部を紹介したい。

①ヴェセルカ:平日のランチタイムにも多くの人々が詰め掛けている (Photos by KC of Yomitime)

①ヴェセルカ

1954年創業、ウクライナ語でレインボーを意味する「ヴェセルカ(Veselka)」=写真①=は、同国の家庭料理を提供するレストラン。ウクライナ侵攻が始まって以来、食事をすることで支援しようと、多くの人々が詰めかけている。

人気メニューは、国民食のピエロギやボルシチ。同店ではこれまで発売していた白と黒のクッキーを、国旗の色・青と黄色に変えて販売。また、テイクアウトを含むボルシチ販売収益のすべてをウクライナ支援団体へ寄付している。

その他、店舗入り口では物品(未使用に限る)の寄付も受付け中。詳細は同店ウェブサイトで。

Veselka
■144 Second Ave.
veselka.com

②イースト・ビレッジ・ミート・マーケット

ウクライナから移住したジュリアン・バクジンスキー氏が1970年に創業した肉屋。スモーク・ソーセージ「Kielbasa」やハム「Smoked City Ham」が人気商品だ。インターネットからもオーダー可能。

ウェブサイトの「DONATIONS TO UKRAINE」ページでは、アメリカ国内のウクライナ系コミュニティを支援する団体「Razom」による寄付活動を案内している。

East Village Meat Market
■139 Second Ave.
www.eastvillagemeatmarket.com

③ウクライナ博物館 (Photos by KC of Yomitime)

③ウクライナ博物館:ドアに貼り出したハッシュタグ入りのポスター (Photos by KC of Yomitime)

③ウクライナ博物館

米国ウクライナ国立女性連盟(Ukrainian National Women's League of America)によって1976年に設立された同館=写真③=は、アメリカで最大のウクライナ芸術と資料を収蔵する。展覧会の他にも、ギャラリー・トーク、ワークショップ、映画上映やコンサートなども開催。

現在、ウェブサイトの「あなたが出来る援助(HOW YOU CAN HELP)」と題したページでは、アメリカ国内の寄付受付団体や国際機関などを案内。ウクライナ軍へ直接資金を送金できる「ウクライナ国立銀行」の情報なども公開している。

The Ukrainian Museum
■222 E. 6th St.
■大人$8、シニア/学生$6、12歳以下無料
www.ukrainianmuseum.org

④聖ジョージ・ウクライナ・グリーク・カトリック教会 (Photos by KC of Yomitime)

④聖ジョージ・ウクライナ・グリーク・カトリック教会:階段に設置された祭壇 (Photos by KC of Yomitime)

④聖ジョージ・ウクライナ・グリーク・カトリック教会

1905年に設立された教会で、100年以上に渡り住民の文化と精神面を支えている。現在、教会の階段に小さな祭壇を設置=写真④=。花やキャンドルが飾られ、人々が祈りを捧げている。

St. George Ukrainian
Catholic Church
■30 E 7th St.
https://stgeorgechurch.us

⑤ウクライナ・インスティテュート・オブ・アメリカ(UIA)

リトル・ウクライナから離れたアッパーイーストにある同館は1948年設立。アメリカで成功したウクライナ移民の実業家、ウィリアム・ズス氏が、祖国の豊かな伝統・文化をアメリカに紹介することを目的に設立した慈善団体。

ウェブサイトに#StandWithUkraineのページを設置し、具体的な活動方法や寄付先などを案内。「私たちは平和と自由の中で生き、民主主義のために戦うウクライナの人々を支援する。ひとつの民主主義に異議を唱えることは、すべての民主主義が危険にさらされるということ。今こそが、#StandWithUkraineの時間だ」と訴えている。

The Ukrainian Institute of America
■2 E. 79th St.
https://ukrainianinstitute.org

⑤ブルックリン美術館前のパブリックアート、デボラ・カス作「OY/YO」(Photo by KC of Yomitime)

ブルックリン美術館は3月3日、同館前に2018年から設置していたデボラ・カスによる黄色のパブリックアート「OY/YO」の半分を青い布でラッピング=写真⑤=。カスの祖父母はベラルーシとウクライナからの移民で、作業にはカス本人も参加。ウクライナ国旗を表現し、反戦と平和を願う。

★ウクライナ支援関連寄付先
※UIAの#StandWithUkraineリストから抜粋

●Ukrainian National Women's League of America (UNWLA)
 避難民や負傷した民間人、ウクライナの軍 病院へ支援を提供
 https://unwla.org/top-news/call-for-humanitarian-aid

●United Ukrainian American Relief Committee (UUARC)
 人道的プロジェクトを支援
 https://www.uuarc.org/ways-of-giving

●Razom for Ukraine
 人道支援を提供
 https://razomforukraine.org/donate

●UNICEF
 紛争に巻き込まれた子どもや家族を支援
 https://www.unicef.org/ukraine/en

●CARE
 ウクライナ危機基金を設置。女性や子ども、高齢者優先で水、食料、衛生キットを支援 https://www.care.org


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