2021年2月12日号 Vol.391

マスクは2枚重ね?HOW?
感染力強い異変種、撃退大作戦!

未知の部分が多い新型コロナウイルスの異変種。イギリスだけだと思っていたら、ブラジルや南アフリカ発生のものまで登場した。異変種によっては今あるワクチンが効かないかもしれないとか、いやまだそれは研究中だから先走るなとか、日々情報が交錯する昨今。巷の話題はもっぱら「ダブルマスクか否か」。たかがマスク、されどマスク。異変種撃退大作戦として、マスクについて今一度考えてみよう。(ささききん) ダブルマスク効果
専門家は「イエス」


テレビ画面に映るトニー・ファウチ医師がマスクを2枚重ねているのを見て、どこからともなく「ダブルマスクすべきなのか」という話題が持ち上がった。「感染力ハンパない」と言われる異変種が巷にウロウロしては不安にもなる。ワクチンもまだまだ数が足りず、「こうなったら自己防衛するしかない」と、もう一度マスクについて見直している人も多いはずだ。2枚重ねか、N95をゲットすべきか、お手製の布マスクか、市販の紙マスクか。

まずダブルマスクについては、多くの専門家が「イエス」と言っている。バージニア工科大学のウイルス感染を専門に研究するリンジー・マー教授は、「2枚重ねることで、ウイルスがマスクにトラップされ、体内に侵入しにくくなる」と話している。ファウチ医師も、「異変種の感染率がオリジナルの7割以上と言われる中で、マスクの重装備化は、手軽にできる有効な予防方法だ」と。



CDCがマスク規格
4月の実施目指して


米疾病管理予防 センター(CDC)は2月初旬時点、マスクの2枚重ねによる予防効果については、科学的データを集めている最中だ。それでもCDCのウェブサイトでは、正しいマスクの付け方として、①2枚重ねにし、②鼻と口を全部カバーし、③顔とマスクの間に隙間を作らないことのーー3箇条が指摘されている。(※1:CDCのマスク情報)

さらに、CDCの医療器具部門が現在、マスク規格の設定を目指して研究中だという。規格化できれば、市販のマスクに予防効果(どの程度のウイルスや菌をブロックするか)をラベル表示していく方向だ。今年4月からの実施を目指している。



使い捨てを下に
布マスクを上に


アメリカのシニア福祉団体AARPが、手軽にできるダブルマスクのレシピを紹介している(※2:AARPのマスク情報サイト)。それによると定番レシピは、内側に市販の紙製サージカルマスク(surgical mask)をつけ、その上から織り目が詰まった布製マスク。市販のファッション布製マスクの多くは、フィルター用のポケット付きなので、そこに薄い紙製フィルターを入れても良い。

バージニア工科大学のマー教授曰く「サージカルマスクはユルユルなので、それだけでは予防効果は低いが、ピッタリフィットの布製マスクの下に重ねることで、74〜90%の微粒子をブロックできる」と話す。じゃあ3枚重ねればもっといいかというと、「呼吸がしにくくなるまでに重ねるのは逆効果。苦しいからとマスクを外してしまっては本末転倒」ということだ。

マスク用のHEPAフィルター(空気清浄機に使われるフィルター)を購入して、布マスクのポケットに入れて使うのもよし。さらには、バキューム掃除機用の袋が、高いフィルター効果を持つという研究結果がいくつもある。マスク用に切って使うのもおすすめだそうだ。



KN95マスクとは?
市販の偽物に注意


N95同様、KN95マスクはウイルスを95%ブロックする。N95との違いは、KN95は中国の医療規格であること。いずれも、パンデミックが始まった当初は一般人が入手することは困難だったが、今は店頭やオンラインストアで広く出回っている。

しかし、昨年9月の調査によると、アメリカで市販されているKN95の7割は偽物なので、注意が必要。CDCが本物と偽物のリストをウェブサイトに掲載しているので、買う前にチェックしたい(※3:KN95、本物か偽物かのリスト)。

医療専門家らはしかし、アメリカ規格のN95の一般人の使用については強く推奨していない。N95は医療現場用に作られたもので、正しく装着すると感染をほぼ完璧に予防できる代わりに、呼吸がしづらく、装着すること自体かなりの苦痛を伴う。日常生活で長時間使うのには適していないので、どうしても使うなら店舗での買い物や、地下鉄の中など、スポット使用するのがベストだ。





こんなマスクはダメ!

X輪郭にフィットしないゆるゆるのマスク(マスクの端と顔の間に大きな隙間がある)
X薄く、ゆるく織られた布で作ったマスク(光を通してしまうような布)
Xシングルレイヤーのマスク
X呼吸用のフィルター付きの穴(exhalation valves or vents)が付いたマスク
Xバンダナやスカーフ、スキー用マスクの代用
Xレザーやプラスチックなど、換気性に劣る素材で作ったマスク


ささききんが勝手に勧める
ダブルマスク・レシピ


あくまでも一市民として試行錯誤してみた結果、「これだ!」というダブルマスク方法にたどり着いた。それは、工事現場のおじさんたちが着けている、どこにでもある「ダストマスク(dust mask)」を、布マスクの下につけること。ダストマスクが輪郭にピッタリフィットし、しかも鼻の周りを空洞にしてくれるので呼吸がしやすい。頭の後ろに回すゴムは、使ってもいいが、使わなくてもその上から被せる布マスクがしっかり固定してくれる。

薄い紙製フィルターや、シリコンカップも試したが、どれもイマイチだった。紙製フィルターを着けてしゃべったら、すぐにフィルターがマスクの中でグチャグチャになる。シリコンカップも汗で濡れるし、ダストマスクほど鼻の周りに空洞ができない。


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