2022年2月11日号 Vol.415

希望に満ちた未来を提案
パブリック・アート
「20アーティスト:グローバル・ポジショニング」

①Walid Al Wawi,Oral History, 2021. Courtesy the artist (Photo : Nicholas Knight, Courtesy of Public Art Fund, NY)

ニューヨーク市内100ヵ所のバス停を会場にした企画展「20アーティスト:グローバル・ボジショニング(20 Artists: Global Positioning)が、1月26日(水)から始まり、6月5日(日)まで開催されている。

主催は、ニューヨークを拠点に野外アートをキュレーションする「パブリック・アート・ファンド」。今回はニューヨークに加え、ボストンとシカゴでも展開。6大陸・世界17ヵ国から、20人のアーティストが選出された。



ワリド・アル・ワウィ(パレスチナ)=写真①=や、ノーラン・オズワルド・デニス(ザンビア)は、 「言語」と「コミュニケーション」の重要性について考察。

プシュパ・クマリ(インド)=写真②=や、チェン・ウェイ(中国)は、広範囲にわたるパンデミックの影響を示唆。

②Pushpa Kumari, Joy of Living, 2021. Courtesy Pushpa Kumari and Gofffa (Photo : Nicholas Knight, Courtesy of Public Art Fund, NY)

ラスティニア・カナヨ(ペルー)や、ショーン・コネリー(ハワイ)=写真③=は、グローバル化した世界で、先住民の文化と伝統の保存について着目。

トニー・アルバート(オーストラリア)や、カイレン・ウイスキー(オーストラリア)は、アボリジニの遺産と大衆文化の関係性がテーマ。

ロザンナ・パウリーノ(ブラジル)や、アベル・ロドリゲス(コロンビア)は、環境破壊の脅威を強調。

ゾンシー・ヘブンリー(ミャンマー)や、アリ・カジム(パキスタン)は、宗教的伝統と個人のアイデンティティとの繋がりを描く。

③Sean Connelly, 16 Cube Truss (About Building Systems), 2021. Courtesy Sean Connelly, After Oceanic. (Photo : Nicholas Knight, Courtesy of Public Art Fund, NY)

過去2年のパンデミックは世界を分断し、社会の脆弱性を浮き彫りにした。本展は、写真、刺繡、砂絵、コラージュ、ドローイング、デジタル、イラストなど、作風は様々だが、地理や文化、言語、歴史、政治の境界を越えた人間の可能性を追求。激動の時代を反映させた作品群は、人々の不安をユーモアに置き換え、「希望に満ちた未来を想像し、提案する」という共通の衝動が示されている。

全作品紹介と展示場所は、オフィシャルサイト(別記)で。

20 Artists: Global Positioning
■6月5日(日)まで
■会場:NY市内バス停100ヵ所
www.publicartfund.org


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