2022年1月28日号 Vol.414

移民のルーツと信仰
母から受けた影響
「アンディ・ウォーホル:啓示」

展示風景。写真右のシルクスクリーンは母・ジュリアとウォーホル Photo: Jonathan Dorado, Brooklyn Museum. Artworks by Andy Warhol © 2021 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Licensed by Artists Rights Society (ARS), New York. Used with permission of @warholfoundation

ブルックリン美術館で6月19日(日)まで、ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルの「啓示(Revelation)」展が開催中だ。彼の作品に影響を与えた「カトリック信仰」を、包括的に検証した初の展示会。ドローイング、版画、フィルム、アーカイブ資料、新しく発見されたアイテムなど、100点以上を紹介している。



7つのカテゴリーに分類された作品群は、ウォーホルが生まれたペンシルベニア州ピッツバーグで始まり、ピッツバーグで終わる。両親は、チェコスロバキア共和国(現・スロバキア共和国)からの移民で、敬虔なカトリック信者だった。ウォーホルが14歳の時に父が死去。毎週、母と共に教会の礼拝に通っていたウォーホルは、キリストや聖人の絵を何時間も眺めていたと伝えられている。信仰が彼の人生と仕事に与えた影響力は、あまり知られていない側面だ。

①母、ジュリア・ウォーホラの作品 Julia Warhola (American, 1891–1972). Angel Holding Cross, between 1952 and 1970 © 2021 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Licensed by Artists Rights Society (ARS), New York

カトリック教会で同性愛は「自然に反する罪深いもの」とされているが、ウォーホルは同性愛者。とはいえ、残された本人の日記には、「信仰と同性愛について悩んでいる」という記述は見当たらないという。

展示は、母、ジュリア・ウォーホラとの関係にもフォーカス。ウォーホルは、たびたび「猫」や「天使」を題材にしているが、それは母がよく落書きしていたモチーフでもあった。ニューヨークでウォーホルは母と暮らしており、友人たちの間で彼女は、「創造的で機知に富んだ人物」として知られていた。展示には、そんな母が描いたドローイング=写真①=なども含まれ、ウォーホルに与えた影響力を知る鍵となっている。

②「最後の晩餐」シリーズ The Last Supper, 1986 © 2021 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Licensed by Artists Rights Society (ARS), New York

自身最後の大作は、レオナルド・ダ・ヴィンチの有名な壁画「最後の晩餐」に基づいたシリーズ=写真②=。発表した約1ヵ月後、胆嚢手術の合併症で死去したウォーホル。彼の幼少時、家には「最後の晩餐」の版画が飾られていたという。

聖母マリアから有名人の描写に至るまで、作品に見えるウォーホルのルーツと信仰を掘り下げ、生涯を通して共に暮らした母との関係性を探る展示。

Andy Warhol: Revelation
■6月19日(日)まで
■会場:Brooklyn Museum
 200 Eastern Parkway, Brooklyn
■大人$25、学生/シニア$16
 4〜12歳$10
www.brooklynmuseum.org


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