2023年01月27日号 Vol.438

日本から秀作5本上映
世界各地で高評価
ACAシネマプロジェクト第6弾

「ケイコ 目を澄ませて」 三浦友和(左)と岸井ゆきの © 2022. Production Committee & COMME DES CINEMAS

ACAシネマプロジェクトシリーズ「New Films from Japan」が、2月10日(金)から16日(木)までの1週間、マンハッタンのIFCセンターで開催される。日本の文化庁が開催するもので、映像産業振興機構(VIPO)が受託・運営し、今回6回目を迎える。

上映ラインナップは、三宅唱監督の「ケイコ 目を澄ませて」、山﨑樹一郎監督の「やまぶき」、中江裕司監督の「土を喰らう十二ヵ月」、久保田直監督の「千夜、一夜」、石川慶監督の「ある男」の5作品。過去1年間に、世界各地の映画祭で影響を与えた秀作・話題作が揃った。

上映は日本語・英語字幕(「やまぶき」は一部韓国語・ベトナム語有)。今年は山﨑樹一郎監督が来米し、登壇する予定。日程はSNS(別記)で確認を。



ケイコ 目を澄ませて
聴覚障碍を持つ元プロボクサー・小笠原恵子さんの自伝「負けないで!」に着想を得たフィクション。
生まれつき耳が聞こえないケイコ(岸井ゆきの)。再開発が進行する下町のボクシングジムで日々鍛錬を重ね、プロボクサーとしてリングに立っていた。嘘がつけず愛想笑いが苦手なケイコは多くの悩みを抱え、ジムの会長(三浦友和)宛に「休みたい」と書いた手紙すら渡すことができない。そんなある日、ジムが閉鎖されることを知る。

第72回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門に選出され、「すべての瞬間が心に響く」「間違いなく一見の価値あり」と絶賛された話題作。

「やまぶき」 祷キララ © 2022 FILM UNION MANIWA SURVIVANCE

やまぶき
(USプレミア)
陽の当たりづらい場所に咲く「山吹」をテーマに、岡山県真庭市で農業を営みながら映画制作を続ける山崎樹一郎が監督した長編第三作。

かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンス(カン・ユンス)。父親の会社が倒産したことで多額の負債を背負った彼は、真庭市の採石場で働いていた。家族とともに慎ましく暮らしていたが、ある日、不幸な事故に見舞われてしまう。一方、刑事の父と2人暮らしの女子高生・山吹(祷キララ)は、交差点で「サイレントスタンディング(無言の抗議行動)」を始める。チャンスと山吹、周囲の人々の運命が、次第に交錯し始める。地方に生きる人々の慎ましい抵抗を、国際的な視座で描いた群像劇。

第75回カンヌ国際映画祭 ACID部門に日本映画として初めて選出された秀作。

「土を喰らう十二ヵ月」 沢田研二(左)と松たか子 © “The Zen Diary” Film Partners

土を喰らう十二ヵ月
(東海岸プレミア)
少年時代に禅寺の侍者を体験した作家・水上勉の料理エッセイ「土を喰う日々: わが精進十二ヵ月」を軸にした人間ドラマ。

人里離れた信州の山荘で、犬のさんしょと暮らす作家のツトム(沢田研二)。禅寺に奉公に出され、9歳から精進料理を身に着けたツトムは、自ら育てた野菜や山で収穫した山菜などを味わい、傍ら原稿を執筆している。時々、東京から訪れる担当編集者で恋人の真知子(松たか子)と共に食べる料理は格別だった。その一方で、彼は13年前に亡くした妻の遺骨を墓に納められずにいた。

自然を慈しみ、誰かと共に「食べる」ことができることに感謝して日々を送る男の姿を通して、真の豊かさとは何かを問いかける。

「千夜、一夜」 田中裕子 © 2022映画『千夜、一夜』製作委員会

千夜、一夜
(USプレミア)
毎年、日本では数万人規模の届け出が提出される行方不明者をテーマにしたドラマ。

北の離島、美しい港町で暮らす登美⼦(田中裕子)の夫・諭が突然姿を消してから30年。そんな登美⼦の前に、2年前に失踪した夫を探す奈美(尾野真千子)が現れ、それぞれの人生が交差していく。複雑な人間の感情と本質を鋭く炙りだした人間ドラマの傑作。

「ある男」 妻夫木聡 © 2022 A MAN Film Partners

ある男
(東海岸プレミア)
芥川賞作家・平野啓一郎の同名小説を映画化。

弁護士の城戸(妻夫木聡)は、かつての依頼者である里枝(安藤サクラ)から、事故で他界した夫・大祐(窪田正孝)について身元調査依頼を受ける。大祐は全くの別人だったというのだ。「大祐」として生きた「ある男」は、なぜ別人となって生きていたのか…。

「愛」と「過去」をめぐる珠玉の感動ヒューマンミステリー。

上映時間・詳細はオフィシャルサイトで確認を。

ACA Cinema Project 2023
■2月10日(金)〜16日(木)
■会場:IFC Center
 323 Sixth Ave.(at West 3rd St.)
■大人$17、シニア/子供$14
 学生 (要ID)$13、IFC会員$12
※ACA cinema project ポストカード提示で$5割引
www.ifccenter.com/series/aca-cinema-project-2023

★上映作品(カッコ内は英題)
■ケイコ 目を澄ませて(Small, Slow but Steady)
■やまぶき(Yamabuki)
※山﨑監督登壇日は下記SNSで確認を
(Twitter) @ACA_Cinema 
(instagram)@acacinemaproject
■土を喰らう十二ヵ月(The Zen Diary)
■千夜、一夜(Thousand and One Nights)
■ある男(A Man)
※上映日程はオフィシャルサイトで確認を


HOME