2020年1月24日号 Vol.366

ベートーベン生誕250年
カーネギーでチクルス開催
「ベートーベン・セレブレーション」


Orchestre Révolutionnaire et Romantique (Photo by Stephanie Berger)


Lucy Crowe (Photo ©Julien Jourdes)


Sir John Eliot Gardiner (Photo by Stephanie Berger)


今年は「ベートーヴェン・イヤー」。不世出の天才作曲家であるベートーベン生誕250年の節目の年。この記念すべき年に合わせて、世界中でベートーベンにちなんだプログラムが上演されている。カーネギーホールでも「ベートーベン・セレブレーション」と題し、シーズンを通してベートーベンが作曲した主要な楽曲のほぼ全てが演奏される予定だ。
そしてこの2月、中でも最も注目のチクルスが行われる。イギリスの指揮者サー・ジョン・エリオット・ガーディナーが設立したオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックが5日間にわたって行う、ベートーベン交響曲全曲演奏会だ。

ガーディナーはイギリス出身の指揮者。幼少期から音楽の才能を現し、指揮活動は15歳から始めている。ケンブリッジ大学などで学び、パリに留学した際には、作曲を名教師ナディア・ブーランジェに師事している。1968年に、古楽器オーケストラとして有名なイングリッシュ・バロック・ソロイスツ(イギリス・バロック管弦楽団)の前身であるモンテヴェルディ管弦楽団を創設し、本格的な指揮活動に入った。そして、ロマン派及び近代の音楽を演奏するため、1990年に結成したのが、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック。この管弦楽団が使用する楽器は、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ同様、古楽器あるいはオリジナル楽器だ。
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックとガーディナーは、ベートーベンの九つの交響曲はもちろん、ほぼ全ての管弦楽曲を演奏・録音している。昨年秋には今年のベートーベン・イヤーを記念し、15枚組のCDボックスセットが発売されたばかり。完璧主義者と言われるガーディナーによる、緊張感のある精緻なアンサンブルに基づいた、精気あふれる演奏は、世界中の批評家たちから高い評価を受けている。

では日程とプログラムの紹介を。
19日(水)は交響曲第1番、レオノーラ序曲第1番、「プロメテウスの創造物」から序曲、序奏、フィナーレ、など。ソプラノのルーシー・クロウが登場。
20日(木)は交響曲第2番と第3番「エロイカ」。
21日(金)は交響曲第4番と第5番「運命」。
23日(日)は交響曲第6番「田園」と第7番。
そして最終日24日(月)が交響曲第8番と第9番「合唱付き」。
なお、18日(火)にはガーディナーとベートーベン研究者として有名な音楽学者、ウィリアム・キンダーマンが、ベートーベンの交響曲についての公開ディスカッションを行うので、こちらも要注目。
長年にわたって歴史的な演奏様式を研究し続け、また、オリジナル楽器による演奏を追求し続けるガーディナーと彼の手勢、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック。このコンビによるベートーベン交響曲全曲演奏会は「ベートーベン・イヤー」ならではの千載一遇のチャンスだ。(木川貴幸)

Sir John Eliot Gardiner on the Beethoven Symphonies
■2月18日(火)7:00pm
■ホール:Weill Recital Hall
■$25

Orchestre Révolutionaire et Romantique
■2月19日(水)8:00pm
■2月20日(木)8:00pm
■2月21日(金)8:00pm
■2月23日(日)2:00pm
■2月24日(月)8:00pm
■ホール:Stern Auditorium / Perelman Stage
■$16〜

■会場:Carnegie Hall
 881 Seventh Ave.
www.carnegiehall.org



HOME