2024年1月12日号 Vol.461

貴重な映画作品を保存
吉村監督「夜の河」上映
MoMA上映会「保存と投影」

ニューヨーク近代美術館(MoMA)が主催する映画祭のひとつ「保存と投影:第20回MoMA国際映画保存フェスティバル(To Save and Project: The 20th MoMA International Festival of Film Preservation)」が、1月11日(木)から2月4日(日)まで開催される。

①Undercurrent, 1956. Courtesy @ Kadokawa Corporation 1956

本年度は世界18ヵ国から、新たに80近い長・短編作品が選出。最初に劇場公開されて以来観ることができなかったオリジナルバージョンや世界初演など、貴重な作品35本以上を上映する。

日本から、吉村公三郎(よしむら・こうざぶろう)監督の「夜の河」(1952年)=写真①=が選出。澤野久雄の同名小説が原作で、吉村監督初のカラー作品だ。伝統を誇る京染の世界で、恋に真実を求める女の姿を描く。主演の山本富士子が好演し、一躍スターになった作品としても有名。



1910年代から1960年代にかけ、140本を超える作品を監督し、「西部劇の神」と呼ばれたジョン・フォードの「人類の戦士(Arrowsmith)」(1931年)は、劇場公開時のオリジナルバージョンで上映。病原菌と戦う医師とその妻を描いた作品で、第5回アカデミー賞で作品賞を含む4部門にノミネートされた秀作。

②Bitch, 1965.Courtesy © The Andy Warhol Museum, Pittsburgh, PA, a museum of Carnegie Institute

夫婦2組の愛憎劇を描いたマイク・ニコルズ監督の「バージニア・ウルフなんかこわくない(Who's Afraid of Virginia Woolf?)」(1966年)と、アンディ・ウォーホルの未公開フィルム「ビッチ(Bitch)」=写真②=(1965年)のデジタル修復版が、2本立てで上映される。

チャーリー・チャップリン主演・脚本・監督作品「偽牧師(The Pilgrim)」(1923年)=写真③=と、バスター・キートン主演・監督作品「キートンの探偵学入門(Sherlock Jr.)」(1924年)も2本立て上映。共に4Kデジタル修復版。

③The Pilgrim, 1923. Courtesy Janus Films

フランコ・ロッシ監督の「スモッグ(Smog)」(1962年)は、全編アメリカで撮影された初のイタリア映画。ヴェネチア映画祭で初上映されて以来約60年間、姿を消していたという。
全上映作品詳細はウェブサイトで。

To Save and Project:
The 20th MoMA International Festival of Film Preservation
■1月11日(木)〜2月4日(日)
■会場:MoMA
 11 W. 53 St.(Floor T2/T1)
■映画鑑賞のみ:
 大人$14、65歳以上$12、学生$10
■https://www.moma.org

★上映作品・抜粋(カッコ内は邦題)
●Undercurrent(夜の河):
 1/24(7pm)、1/25(4pm)

●Arrowsmith(人類の戦士):
 1/22(4pm)、1/30(7pm)

●2本立て:1/13(4:30pm)
 Who's Afraid of Virginia Woolf?(バージニア・ウルフなんかこわくない)
 Bitch

●2本立て:1/21(1:30pm)
 The Pilgrim(偽牧師)
 Sherlock Jr.(キートンの探偵学入門)

●Smog:1/25(1pm)、1/27(4pm)


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