2019年1月11日号 Vol.341

ジプシー女カルメンと竜騎兵ホセの悲劇
ビゼー代表作のひとつ
「カルメン」

カルメン
Clémentine Margaine in the title role of Bizet's "Carmen." Photo: Marty Sohl/ Met Opera

カルメン
Clémentine Margaine in the title role and Kyle Ketelsen as Escamillo in Act IV of Bizet's Carmen. Photo by Marty Sohl/Metropolitan Opera

カルメン
Act IV of Bizet's "Carmen". Photo by Marty Sohl/Metropolitan Opera

カルメン
A scene from Bizet's "Carmen". Photo by Ken Howard / Met Opera


2009年に「カルメン」の新演出でセンセーションを巻き起こしたリチャード・エア。ビゼーの印象的でドラマティックな音楽と相まって、METのヒットプロダクションとなっている。ビゼーはフランス人であるが、物語の舞台となるスペインの民俗音楽やジプシーのメロディを取り入れた「ハバネラ」「闘牛士の歌」など多彩な名曲は、オペラだけに留まらずオーケストラ、ヴァイオリン、ピアノなどの抜粋組曲として演奏会でもお馴染みである。
今回のMETでは、リンカーンセンターのモストリー・モーツアルトの音楽監督も務めるルイ・ラングレの指揮、妖艶な美貌と声で「カルメン歌い」と評判のクレモンティーヌ・マルゲーヌ、ドン・ホセのキャラにはまったロベルト・アラーニャと本場フランス出身のアーティストで固めている。更にアラーニャの妻であるアレクサンドラ・クルシャックのミカエラ、ロシア出身のアレクサンダー・ヴィノグラドフが闘牛士エスカミーリョと、オールスターの揃い踏み!物語も分かりやすく、斬新な舞台展開で、本場のフラメンコのダンスが登場したりと、ミュージカル感覚で楽しめる新年の一押しだ!

■あらすじ
1820年ごろのスペインのセヴィリャが舞台。タバコ工場で働くカルメンは問題を起こして竜騎兵ドン・ホセに捕まるが、脱走したためホセが刑を受ける。刑期を終えてカルメンと再会するが、カルメンの魅力の虜となったホセは軍を脱走し、密輸団のジプシーの仲間となってカルメンと行動を共にする。故郷の許嫁ミカエラが母の危篤を知らせに来て一旦は一緒に故郷に戻るが、カルメンへの未練が断ち切れず、カルメンと恋仲のエスカミーリョが出場する闘牛場で待ち伏せする。やり直そうと迫るホセに、カルメンは、自由に生まれて自由に死ぬと言い放ち、ホセからもらった指輪を投げつける。思い余ったホセはカルメンを刺し、ホセは倒れたカルメンの上に泣き崩れる。(針ケ谷郁)
※註:竜騎兵=火器で武装した騎兵

CARMEN フランス語上演
■1月9日/12日/17日/21日/26日(M)/29日
 2月2日(M)/5日/8日
■ジョルジュ・ビゼー作曲
■初演:1875年3月3日 パリ、オペラ・コミック座
■原作:フランスの作家、プロスペル・メリメの小説(1845年)
■演出:リチャード・エア
■指揮:ルイ・ラングレ
■配役:カルメン:クレモンティーヌ・マルゲーヌ
    ドン・ホセ:ロベルト・アラーニャ
    ミカエラ:アレクサンドラ・クルシャック
    エスカミーリョ:アレクサンダー・ヴィノグラドフ


■チケット:212-362-6000
www.metoperafamily.org


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