リヨ・斎藤のオペラ
短編映画として無料公開
「道成寺組曲」YouTubeで
紀州道成寺に伝わる「安珍・清姫伝説(あんちん・きよひめでんせつ)」を基にしたチェンバー・オペラ「道成寺」(脚本・音楽:リヨ・斎藤)。同作の音楽をベースに、斎藤氏自らが手がけたイラストによる短編映画「道成寺組曲、リヨ・斎藤のオペラより(Dojoji Suite from the opera by Riyo Saito)」が、今年8月からYouTubeで公開されている。
歌舞伎や浄瑠璃の演目の一つとして知られる「道成寺」。思いを寄せた僧の安珍に裏切られた清姫が、大蛇に変身して日高川を渡って追跡、道成寺で鐘ごと安珍を焼き殺すという物語。
音楽プロデューサーのリヨ・斎藤が2019年、室内楽団で演奏されるチェンバー・オペラ「道成寺」としてカーネギー・ワイルリサイタル・ホールで上演。
第二段として、歌手4人(ソプラノ、メッツォ、テナー、バリトン)、ピアノとクラリネット、ダンサー2人という構成で、2022年にカーネギーでの再現をめざしていた斎藤氏だが、自身の体調問題と、コロナ禍でメンバーを収集することも難しくなったことからやむなく延期。
自由に活動ができなかったことで、今回のショートフィルム制作に着手した。ジュリアード音楽院の学生たちの協力を受け、クラリネット(アノウシュ・ポゴシアン)、チェロ(エリザベス・チャン)、ピアノ(ジミー・シェン)で構成。「それぞれの楽器が交互に歌っているように工夫しました」と話す斎藤氏。じっくりと1年をかけ、14分のショートフィルムを完成させた。
「絵については、実はアーチィストを探してましたがなかなか良い人に出会えず、ジュリアード音楽院の師から『自分で描いてみれば?』とアドバイスされたことがきっかけです。まさか自分が絵を描くとは夢にも思いませんでした。これからもっと絵の勉強に磨きをかけたいと思います。私のイラストで、この有名なストーリーに遊び心とユーモア、哀愁を感じて頂ければうれしい」と続けた。